日本の一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は、暗号資産に関する会計処理の実務ガイダンスを公開した。
ステーキングやDeFiなど新たな取引形態に対応し、企業の会計判断を支援する内容となっている。
暗号資産会計の実務指針を公開
2026年3月25日、日本ブロックチェーン協会(JBA)の会計分科会は、「暗号資産等の会計処理に関する実務ガイダンス」を公表した。
暗号資産を保有・利用する企業にとって、会計処理の判断基準を整理することを目的としている。
暗号資産は取引所や価格アグリゲーターごとに価格が異なるため、時価評価の基準選定が課題となってきた。
また、近年はステーキングやDeFi(※)、ステーブルコイン決済といった新たな取引形態が急速に普及し、従来の会計実務では想定されていなかった論点が増えている。
今回公表されたガイダンスでは、日本の会計基準や実務慣行を前提に、具体的な仕訳例や検討ポイントが整理された。
対象となる取引類型には、暗号資産同士の交換、交換業者への預入れ・引き出し、ステーキングおよびリキッドステーキング、ウォレット間の内部振替、ブリッジ取引などが含まれる。
なお、本ガイダンスは企業会計基準委員会(ASBJ)の基準を代替するものではなく、法的拘束力や税務上の助言を持つものではない。
あくまで実務上の参考資料として位置づけられており、今後の制度動向や実務の進展に応じて改訂を検討するとしている。
※DeFi:中央管理者を介さず、ブロックチェーン上で金融取引を行う仕組み。貸付や取引などをスマートコントラクトで自動化する。
実務標準化が進む一方で課題も
今回のガイダンス公開は、暗号資産を扱う企業にとって、会計処理の方向性を示す材料の一つになると考えられる。
特に、複雑化する取引に対して具体的な整理が提示されたことで、実務のばらつきや判断の不確実性は一定程度低減される可能性がある。
一方で、法的拘束力を持たないガイダンスである点は依然として課題と言える。
企業ごとの判断余地が残るため、監査対応や税務処理との整合性において追加的な検討が必要になる場面も想定される。
また、DeFiやクロスチェーン取引のように技術進化が速い領域では、ガイダンスの更新頻度が実務の変化に追いつくかが重要な論点となり得る。
今後は、こうした実務知見の蓄積を通じて、より統一的な会計基準の整備へとつながる可能性がある。
業界全体での合意形成が進めば、暗号資産の企業利用はさらに拡大していくと考えられる。
一般社団法人日本ブロックチェーン協会 会計分科会 暗号資産等の会計処理に関する実務ガイダンス
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