2026年3月25日、日立製作所は、Oracle Databaseを用いた基幹システムのクラウド移行支援サービスを強化し、4月1日から提供すると発表した。Oracle Database@AWSへの対応やコスト削減機能を追加し、AI活用を前提とした基幹刷新を後押しする。
Oracle基幹DBをAWSへ迅速移行
日立は「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」を拡張し、Oracle Database@AWSへの対応を新たに追加した。これにより、オンプレミスで運用されてきた基幹データベースを、ミッションクリティカル要件を満たしつつクラウドへ移行できる体制が整う。設計・構築・移行・運用までを一貫して支援する点が特徴である。
同サービスは、日本オラクルおよびAWSとの共同検証で確立したベストプラクティスをベースに提供される。実績として、移行前後で最大30%のシステム利用コスト削減に加え、事前検討から移行完了までの期間を約2カ月短縮できるケースが確認されている。加えて、性能やリソース利用状況の分析に基づく不要リソース削減の自動化により、継続的なコスト最適化も実現する。
さらに、ランサムウェア対策を想定したバックアップ運用や、セキュリティパッチ適用時の影響予測の自動化などを組み込み、レジリエンスを高める設計となっている。日立のエンジニアが顧客の運用に伴走し、FinOps(※)の考え方に基づく継続的な改善を支援する点も重要なポイントだ。
また、基幹システム向けとAI活用向けのデータベースを分離しつつ常時同期する構成を採用する。これにより、最新データを安全にAI分析へ活用できる環境を構築し、金融の不正検知や製造業の需要予測など、リアルタイム性が求められる業務への適用を見据える。
※FinOps:クラウド利用におけるコスト管理と最適化を継続的に行う運用手法。エンジニアリングと財務の連携により費用対効果を最大化する。
AI前提の基幹刷新、利点と課題
今回の強化は、基幹システムを単なる「クラウド移行」から「AI活用基盤」へと進化させる動きと位置づけられる。リアルタイムで基幹データを分析に活用できる環境は、意思決定の高度化や業務の自動化を加速させ、企業の競争力強化につながる可能性がある。特にコスト削減と俊敏性の両立は、多くの企業にとって有効な選択肢となり得る。
一方で、マルチクラウド環境は柔軟性を高める反面、運用の複雑化やスキル要件の高度化を招くリスクもある。OracleとAWSをまたぐ構成は高度な設計・運用ノウハウを前提とし、十分な体制がなければ運用負荷が増大する可能性も否定できない。また、AI活用の成否はデータ品質に大きく依存するため、継続的なデータ整備が重要になると考えられる。
今後は、クラウド移行の巧拙ではなく、「どれだけ基幹データをAIで活用できるか」が企業競争の分岐点になると考えられる。日立のように移行から活用までを一体で提供するモデルは、今後の基幹システム刷新の主流となる可能性がある一方、導入企業側の変革対応力もより一層問われる局面に入りつつある。
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