東京地下鉄株式会社(東京メトロ)は、東西線原木中山駅でのホームドアの供用開始をもって、全180駅で整備が完了すると発表した。
東京メトロ、全駅にホームドアを設置完了
東京メトロは2026年3月26日、同月28日に稼働開始される東西線原木中山駅での実装をもって、全9路線180駅におけるホームドア(※1)整備を完了すると発表した。
これにより、同社の全ネットワークで転落事故や列車接触事故の防止体制が標準化されることになる。
同社は1991年、南北線(駒込〜赤羽岩淵間)開業時に日本の地下鉄で初めてホームドアを導入した。その後、2017年に全路線への設置方針を打ち出し、整備を推進してきた。
整備率の向上に伴い、転落事故件数は減少しているという。
設置に際しては、ホーム床の補強工事や設備改修が必要となり、単純な機器導入にとどまらない大規模なインフラ整備が行われた。
日比谷線では、ドア数の異なる車両が混在していたため、新型車両への更新を通じて編成とドア位置の統一が図られた。また東西線では、車両ドアの位置や開口幅が異なる車両が運行していたため、すべての車両に対応可能な大開口タイプのホームドアが導入された。
なお、東西線南砂町駅の一部番線については大規模改良工事の進捗に応じて整備が進められる予定である。
※1 ホームドア:駅ホームの線路側に設置される可動式の安全柵。列車のドア位置と連動して開閉し、乗客の転落や接触事故を防止する設備。
安全強化の恩恵とコスト課題、次の進化は
ホームドアの全面整備は、安全性と利便性の両面で明確なメリットをもたらすだろう。
転落事故の抑制に加え、視覚障害者や高齢者にとっての移動リスクが低減され、公共交通の心理的ハードルが下がる効果も期待される。結果として、利用者の増加や都市活動の活性化につながりそうだ。
一方で、ホーム補強や車両更新を含めた投資は巨額にのぼると考えられるため、同様の整備を地方鉄道や中小事業者が実施するには、財務的な面から困難になるケースもあり得る。
結果として、都市部と地方で安全インフラの格差が拡大するリスクも否定できない。
とは言え将来的には、IoT(※2)やAIを活用した異常検知や運行最適化と組み合わせることで、より高度な安全管理への進化が期待できそうだ。
安全性・効率性・コストのバランスをどう最適化するかが、今後の鉄道経営における重要な論点となるだろう。
※2 IoT:Internet of Thingsの略。機器やセンサーをネットワークに接続し、データ収集や遠隔制御を行う技術。鉄道では設備監視や故障予測に活用される。
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