ユーラスエナジーHD、日本郵船、NTTファシリティーズなど5者は、横浜港にて再生可能エネルギー100%で稼働する洋上浮体型データセンターの実証実験を開始した。
データセンターの運用における課題を解決するための新たな取り組みである。
横浜で洋上再エネDC実証開始
ユーラスエナジーホールディングス、日本郵船、NTTファシリティーズ、三菱UFJ銀行、横浜市の5者は、横浜港大さん橋ふ頭のミニフロート上において、洋上浮体型データセンターの実証運用を開始したと、2026年3月25日に発表した。
洋上の浮体上に設置したコンテナ型データセンターに太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせ、外部電力に依存しない再生可能エネルギー100%の運用を実現している。
生成AIやクラウドの普及により、データセンター需要が拡大している一方で、従来の陸上型データセンターでは、電力消費の増大と脱炭素の両立、建設期間の長期化、建設費の高騰、耐災害性の確保といった課題が顕在化している。
今回の洋上浮体型データセンターの実証は、こうした課題の解決を目的としたものだ。
同日に開催された開所式には、官公庁やクラウド事業者なども参加し、ミニフロート上でデータセンターを見学するサイトツアーも行われた。
今後は、2026年度末までを目処に、塩害や振動による機器への影響、再エネのエネルギーマネジメントなどを検証し、実用化に向けた技術的基盤を確立する計画である。
利点と課題、普及の現実性は
洋上浮体型データセンターは、分散型インフラへの転換を象徴する存在となる可能性がある。
最大のメリットは、再生可能エネルギーによる電力供給と立地制約の解消を同時に達成できる点だろう。
洋上風力との連携なども進めば、発電地近接型のデータ処理基盤が形成され、エネルギー効率の向上が期待できる。
海水を活用した冷却技術との組み合わせにより、さらなる省エネ化も実現できるかもしれない。
一方で、課題も多そうだ。
海上特有の塩害や振動による機器劣化、通信インフラの安定確保、保守運用コストの増大などは無視できないだろう。
また、気象条件による稼働制約や法規制の整備不足も、商用化に向けた障壁となり得る。
オフグリッド(※)運用においては、再エネの不安定性をどこまで制御できるかが鍵となるはずだ。
今後は、AI需要の拡大により、データセンターの電力問題は一層深刻化すると考えられる。
従来の陸上型だけでは対応が難しくなる中、洋上という選択肢は現実的な代替案となるかもしれない。
今回の実証が成功すれば、エネルギーとデジタル基盤を一体で設計する新たな標準モデルとして、国内外へ展開が進む可能性もありそうだ。
※オフグリッド:電力会社の送電網に依存せず、再生可能エネルギーと蓄電池によって電力を自給自足する仕組み。
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