OKIはAIサーバー機器向けに、製造工程を一括受託する「まるごとEMS」サービスを開始すると発表した。
高放熱PCB技術を軸に、調達からリワークまで一括対応し、製造の高度化に対応する狙いだ。
AIサーバー製造を一貫受託
OKIは、端子数1万超の高性能AI半導体を搭載するサーバー機器に対応した「まるごとEMS」サービスを2026年3月25日から提供開始すると、同年3月24日に発表した。
部品調達や棚卸管理、基板実装、装置組立、試験といった共通工程を横断的に請け負う「共通工程まるごとEMS」のほか、リワーク(※1)を含めた全工程を一貫して担う「製品群まるごとEMS」を提供する。
AIサーバーの製造現場では、高温加熱時のPCBと部品の熱膨張差による反り対策、大量の半導体が発する高熱への対応、AOI(※2)では検出しにくい内部はんだ不良や、検査工程の増加などが課題となっている。
さらに半導体の大型・高額化により、不良発生時の失敗コストや生産期間の増加も課題になっている。
こうした課題に対し、OKIは「銅コイン埋め込みPCB技術(※3)」を活用した高放熱・高多層基板の設計・製造技術を提供する。
加えて、X線による高速検査や機能検査の自動化により、品質管理の精度を高める構えだ。
また、熟練技術者と独自開発装置・治具を組み合わせることで、端子数1万超の高性能半導体まで短納期でのリワークを実現する。
※1 リワーク:不良部品を取り外し、正常品に交換して再実装する工程
※2 AOI:自動光学検査。画像認識により基板上の欠陥を検出する技術
※3 銅コイン埋め込みPCB技術:基板内部に銅を埋め込み、放熱性能を高める実装技術
外注進化による効率化と依存リスク
本サービスにおける主なメリットは、製造工程の一元化による効率向上であろう。
複数ベンダーに分散していた工程を統合することで、管理工数の削減や歩留まり改善、納期短縮が期待できる。
特にAIサーバーのように部品単価が高い領域では、不良削減によるコストインパクトは大きくなりそうだ。
一方で、製造を外部に委ねる比率が高まるほど、特定企業への依存が強まるリスクも生じるだろう。
障害発生時の影響範囲が広がる可能性や、製造ノウハウの蓄積が自社に残りにくい点は無視できない。
また、高度なリワークや検査技術が一部企業に集中することで、サプライチェーン全体の柔軟性が低下する懸念もある。
今後は、AI半導体のさらなる高性能化に伴い、製造工程の難易度は一段と上昇すると考えられる。
その中で、設計から製造、修復までを包括するEMSの価値は拡大していくかもしれない。
市場の拡大とともに、同様のモデルが業界全体に波及する展開も考えられそうだ。
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