2026年3月24日、株式会社カンネツは、ニデック株式会社および第一実業株式会社と、AIデータセンター向け液冷パッケージの提供で戦略提携を締結したと発表した。生成AIの普及で高まる冷却需要に対し、設計から施工までを一体化した体制を構築する。
液冷化を一括提供、AI基盤の工期短縮へ
今回のアライアンスは、生成AIの急速な普及に伴い顕在化したサーバーの発熱問題への対応を目的とする。高密度化が進むAIサーバーは従来の空冷方式では限界があり、液冷化が不可欠な前提条件となりつつある。
これに対し3社は、設計・調達・施工・検証までを一体化したパッケージを提供する体制を構築した。ニデック株式会社はモーター制御技術を基盤にCDU(※)などの冷却機器を供給し、第一実業株式会社はグローバル調達とエネルギー設計、施工を含む全体統括を担う。株式会社カンネツは冷却システムの自律制御と検証環境を提供する役割を持つ。
特に特徴的なのは、1MW超の高負荷を再現する事前検証プロセスを組み込んでいる点である。これにより実機導入前に性能や安定性を確認でき、従来必要だった複雑なベンダー間調整を削減できる。結果として、国内AIデータセンター建設における工期短縮と品質確保の両立が可能になるとされる。
さらに、電力効率を示すPUE(※)1.1という高水準を目標に掲げ、水資源を消費しない設計も打ち出した。電力と水の両面で負荷が増大するAI時代に対応する、次世代型インフラとして位置づけられる。
※CDU(Coolant Distribution Unit):液冷システムにおいて冷却液の循環や温度制御を担う装置。サーバーから発生する熱を効率的に外部へ移送する中核機器。
※PUE(Power Usage Effectiveness):データセンターの電力効率を示す指標。1に近いほど効率が高く、設備以外の電力ロスが少ない状態を意味する。
標準化が加速も依存とコストに課題
今回の取り組みは、AIインフラ整備のスピードを引き上げる可能性がある点で注目される。設計から施工までを一括提供することで導入のハードルが下がり、企業や自治体によるデータセンター投資の拡大につながるとみられる。加えて、高効率な液冷技術は電力消費の抑制にも寄与し、環境負荷低減の観点でも一定のメリットが期待される。
一方で、液冷インフラのパッケージ化は特定企業への依存を強める可能性も指摘される。冷却システムは基盤設備であり、導入後の切り替えが容易ではないため、長期的には技術ロックインのリスクにつながる可能性がある。また、液冷は高効率である反面、初期投資や設計の複雑性が高く、中小規模の事業者にとっては導入障壁となる場合も考えられる。
今後は、こうした統合型ソリューションが市場に広がることで、液冷の標準化が進む可能性がある。生成AIの計算需要が拡大し続ける中で、冷却技術は競争力を左右する重要な要素となるとみられ、日本発のインフラモデルが国際市場で存在感を高める展開も期待される。
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