ANA XはMVNO事業に参入し、通信サービス「ANAモバイル」の提供を開始した。
月額料金に対して20%の積算率でマイルが付与される仕組みを採用し、通信と航空サービスを連携させた新たな顧客体験の提供を目指す。
月額料金の20%をマイル還元
2026年3月24日、ANA Xは、モバイル通信サービス「ANAモバイル」の提供を開始した。
MVNO(※)としてドコモ回線とau回線を利用し、SIMカードおよびeSIMに対応する構成となっている。既存のスマートフォンや電話番号はそのまま利用できる。
最大の特徴は、月額料金に対して20%の積算率でANAマイルが付与される点である。
対象は基本プラン料金に加え、通話定額オプションやデータチャージ代であり、通話料などは含まれない。
例えば、音声30GBプランに通話定額を組み合わせた場合、月額4,300円で860マイルが積算され、年間では1万マイル超が見込まれる。
料金プランは1GBから100GBまで全20種類を用意し、利用者のデータ使用量に応じた選択が可能となる。データ追加は1GBあたり250円で購入でき、追加分にもマイルが付与されるほか、3カ月後まで繰り越し可能とされている。
さらに、同サービスは2027年度のANAプレミアムメンバーサービスのステイタス獲得条件にも組み込まれる予定であり、通信利用が会員ランクに影響する仕組みが導入される。
※MVNO:大手通信事業者の回線を借りて独自の通信サービスを提供する事業者。自社で基地局を持たないため、比較的低コストでサービス展開が可能とされる。
通信×マイルで囲い込み強化へ
ANAモバイルの導入は、通信費という日常支出をマイル獲得に直結させることで、顧客接点の拡張を狙う施策と捉えられる。
従来は航空利用やクレジットカード決済が主なマイル獲得手段だったが、通信サービスを加えることで、より継続的な利用動機を形成しやすくなるとみられる。
特に、毎月固定で発生する通信費に対して高い還元率を設定した点は、他のポイント経済圏との差別化要因となる可能性がある。
マイルを特典航空券や決済サービスに活用できる点も含め、ANA経済圏への囲い込みが進む構図だと言える。
一方で、MVNO市場は価格競争が激しく、単純な料金面では他社格安プランと比較されやすい領域とも言える。
マイル還元という付加価値がどこまでユーザーの選択を左右するかは、実際の利用体験や還元の実感度に依存する側面があるだろう。
また、マイル価値は利用方法によって変動するため、実質的な還元率の感じ方には個人差が生じると考えられる。
通信と航空サービスを融合した今回の取り組みが、長期的な顧客ロイヤルティの向上につながるかが今後の焦点となりそうだ。
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