2026年3月18日、アクセンチュアは米マイクロソフトと連携し、企業のAI導入を支援する新体制「Forward Deployed Engineering」を発表した。設計から開発、運用までを一体支援し、AI活用の実装加速を狙う取り組みである。
AI導入の実装課題に対応する新体制
アクセンチュアは、企業のAI導入を加速させるため「Forward Deployed Engineering(※)」の新体制を立ち上げた。AIに習熟した数千人規模のエンジニアが顧客企業を支援し、設計から開発、運用までを一貫して担う体制である。
役割分担では、マイクロソフトがAIプラットフォームや基盤技術を提供し、アクセンチュアが業務プロセスの見直しや業界ごとのワークフロー設計を担当する。両社は共同で顧客企業に入り込み、構想段階から本番運用までを一体で進めるとしている。
この体制は、AI導入がPoC(概念実証)にとどまり、本格運用に至らない企業が多い現状を踏まえたものだ。特に全社展開では、業務設計や現場適用の難しさが障壁となるケースが多い。
また、マイクロソフトは2026年1月の公式ブログで、AIエージェントの本番導入においてforward deployed engineersの重要性を示しており、今回の取り組みはその考え方を具体化した動きと位置付けられる。両社の長年の提携関係を背景に、実装力を強化した点が特徴といえる。
※Forward Deployed Engineering:顧客企業の現場にエンジニアが常駐・伴走し、システム設計から開発、運用までを一体で支援する手法。業務プロセス改革と技術導入を同時に進める点が特徴。
導入加速の利点と依存リスク、競争の行方
今回の体制により、企業のAI導入は検証段階から実運用へと移行しやすくなる可能性がある。現場にエンジニアが入り込むことで、実務に即した設計が進み、導入スピードと成果創出の確度は高まると考えられる。
特に、業務プロセスと一体でAIを実装できる点は大きな利点となりうる。これにより、部門単位にとどまらない全社的な活用が進み、投資対効果の可視化も進展する可能性がある。
一方で、高度な支援体制を活用できる企業とそうでない企業の間で、AI活用の格差が広がる懸念もある。人材や資金に余力のある企業ほど導入が進みやすく、競争環境の二極化が進む可能性は否定できない。
さらに、外部パートナーへの依存が強まることで、自社内にノウハウが蓄積されにくいリスクもある。今後は外部支援を活用しながらも、内製化とのバランスをどう取るかが重要な経営課題となる可能性がある。AI導入は単なる技術選定にとどまらず、組織能力の競争へと移行しつつあるとも考えられる。
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