ZOZOが日本国内で提供するファッションアプリ「WEAR」にて、AI機能拡充が行われた。コーデ提案や着回し診断に加え、「味付け」指定など新要素を導入し、個々のユーザーに最適化されたスタイリング提案の精度向上を図る。
WEAR、AIで着回しと印象指定を高度化
2026年3月19日、「WEAR」にAI機能を強化するアップデートが行われたと報じられた。
具体的には、これまで「WEAR」に蓄積された1400万件超のコーディネートデータを活用し、AIがユーザーの嗜好や体型、選択ジャンルを横断的に分析する仕組みが強化された。
さらに、ファッションEC「ZOZOTOWN」との連携により、購入済みアイテムが自動でアプリ内に反映されるようになった。ユーザーは手持ちの服を前提としたコーディネートを即座に確認でき、実用性の高い提案を受けられる設計である。
新機能として導入された「味付け」指定も特徴的だ。
同一ジャンル内でも「きれいめ寄り」「カジュアル寄り」といった印象の方向性を選択でき、視覚的に“なりたい姿”を指定することで、AIが意図に沿ったコーディネートを絞り込む仕組みとなっている。
加えて、特定のアイテムを起点に複数の着こなしを提示する「着回し提案機能」も強化された。体型の悩みや与えたい印象を踏まえた組み合わせを提示する点が特徴である。
これらの機能は、表参道のスタイリング拠点「似合うラボ」で蓄積された実データが反映されている。
利便性向上と創造性低下の両面
今回の機能拡充は、ファッション領域におけるAI活用が実用段階へ移行したことを示すものと考えられる。ユーザーは手持ちアイテムを軸に短時間で最適なコーディネートを把握できるようになり、購買後の活用効率向上や無駄な消費の抑制につながる可能性がある。
一方で、AI提案は過去データに依存する構造上、トレンドの急激な変化や個人の嗜好の揺らぎに対して柔軟に対応できないリスクがある。結果として提案が無難化し、ファッション本来の創造性や偶発的な発見が損なわれる懸念も否定できない。
また、アルゴリズムによる最適化が進むほど、ユーザーの選択行動がAIに収束していく可能性もある。これは利便性と引き換えに、スタイルの多様性が縮小する方向に作用する可能性を内包していると言える。
今後は、AIと人間の感性をどのように補完関係として設計するかが競争軸になりそうだ。ZOZOがオフライン拠点のデータを取り込んだ点はその布石と見られるが、AIが「提案する存在」から「共創する存在」へ進化できるかが、中長期的な差別化の鍵を握るだろう。
関連記事:
ZOZOがChatGPT連携 会話で服選びが変わるAIコーデ提案

ZOZO、AIで「似合う」を科学する WEARに着回し提案機能を追加

ZOZO、生成AI「ChatGPT Enterprise」を全社員へ導入 業務効率化を推進
