2026年3月16日、日本経済新聞は、金融庁が暗号資産の無登録販売業者に対する罰則を強化する方針だと報じた。
刑罰の上限引き上げに加え、刑事告発を前提とした調査権限の拡充も検討されている。
無登録販売に罰則強化と犯則調査導入へ
日本経済新聞は3月16日、金融庁は暗号資産の無登録販売業者に対する罰則を大幅に引き上げる方針だと報じた。
現行では無登録販売業者への刑は拘禁刑3年以下または罰金300万円以下とされているが、これを拘禁刑10年以下または罰金1,000万円以下へと強化する内容となる見込みだ。
対象は無登録で暗号資産の販売を行う業者に加え、店頭デリバティブ取引の勧誘なども含まれる。
さらに、取り締まり手法にも大きな変更が加えられるという。
これまで無登録業者への対応は警告書の発出や営業停止命令が中心であったが、今後は証拠の差し押さえや事情聴取を行う「犯則調査(※)」の対象とし、刑事罰を視野に入れた摘発が可能になる方針である。
行政対応から刑事対応へと軸足を移す点が特徴だ。
制度面では、暗号資産の規制枠組みが資金決済法から金融商品取引法へ移行する見通しも示されている。
なお、金融庁は2024年11月に海外取引所5社へ警告を発出するなど、無登録業者への注意喚起を継続している。
※犯則調査:行政機関が刑事告発を前提として証拠収集や事情聴取を行う調査手法。証券取引等監視委員会などが活用してきた仕組みで、違法行為の立件を目的とする。
規制強化で市場健全化進む一方、海外流出も懸念
今回の罰則強化は、国内の暗号資産市場における規律の明確化につながる施策と捉えられる。
無登録業者への対応が刑事領域まで拡張されることで、違法サービスの抑止力が高まり、利用者保護の観点では一定の効果が見込まれる。
特に高リスクな海外取引所の勧誘や詐欺的スキームの排除が進めば、市場全体の信頼性向上に寄与する側面があるだろう。
一方で、規制強化は市場構造にも影響を与えうる。
国内での事業参入ハードルが上昇することで、事業者が規制の緩い海外市場へ拠点を移す動きが強まる可能性もある。
また、利用者側もサービスの自由度を求めて海外プラットフォームへ流れる傾向が続けば、国内市場の競争力低下につながる懸念も残る。
さらに、暗号資産を金融商品取引法の枠組みへ組み込むことで、証券に近い厳格な規制が適用される点も重要だと言える。
機関投資家の参入環境が整うとの見方がある一方、過度な規制がイノベーションを抑制する側面も否定できない。
今後は利用者保護と産業育成のバランスをどう取るかが、日本のWeb3政策の焦点になりそうだ。
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