2026年3月6日、静岡市は行政手続きや制度情報を対話形式で検索できる「AIコンシェルジュ」の提供を開始した。公式ウェブサイトおよびLINEから利用でき、市民の情報取得を効率化する。県内自治体や政令市で初の導入とされる。
対話型AIで手続き検索を効率化
静岡市が導入した「AIコンシェルジュ」は行政制度や各種手続きに関する情報を対話形式で案内する検索サービスである。従来のキーワード検索とは異なり、利用者の入力内容に応じてAIが質問を重ね、必要な情報へ段階的に誘導する仕組みを採用している。
例えば「住民票がほしい」と入力すると、本人申請か代理申請か、取得方法は窓口・郵送・コンビニ交付・電子申請のどれかといった条件を順に確認し、最適な手続き方法を提示する。曖昧な質問であっても意図を補完しながら回答を生成する点が特徴だ。
同サービスは市公式サイトと公式LINEから24時間利用可能であり、スマートフォン経由での利用も想定されている。市によればこうした対話型検索の導入は県内自治体および政令市では初の取り組みとなる。
背景には情報検索の難しさと問い合わせ増加の課題がある。市のコールセンターには年間約3万件、代表電話には約14万件の問い合わせが寄せられており、その多くが制度や手続きに関する内容で占められている。従来のウェブ検索では目的情報にたどり着けないケースも多く、問い合わせ対応の負荷が増大していた。
行政DX加速も 精度と信頼性が鍵
今回のAIコンシェルジュは、行政DX※の一環として市民サービスの質向上と業務効率化を同時に狙う施策と位置づけられる。情報検索に関する問い合わせが減少すれば、職員はより専門性の高い相談や窓口対応に注力できるようになると考えられる。
また利用履歴や満足度データを蓄積することで、ウェブサイトの構成改善や回答精度の向上にもつながる可能性がある。利用者の行動データを反映した「自己進化型の行政サービス」として機能すれば、従来の一方向的な情報提供からの転換が進むと言える。
一方でAIによる回答の正確性や説明責任の確保は重要な論点となる。行政手続きは個別条件によって判断が異なる場合も多く、誤解を招く案内が生じればトラブルにつながる恐れもある。特に制度改正や例外対応への追随が遅れた場合、情報の陳腐化がリスクとなりうる。
今後はAIの回答範囲と人によるサポートの役割分担を明確にしながら運用を高度化していく必要がある。自治体における対話型AIの導入は全国的に広がる可能性があり、その成否は利用体験と信頼性のバランスにかかっている。
※行政DX:デジタル技術を活用して行政サービスや業務プロセスを改革し、効率化や利便性向上を図る取り組み。オンライン申請やAI活用などが含まれる。
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