2026年3月12日、日本のGPUクラウド企業ハイレゾは秋田県および男鹿市と立地協定を締結し、AIデータセンター開設を発表した。廃校を活用した地方分散型インフラ整備が加速する可能性がある。
廃校活用でAI拠点拡大 5拠点目へ
ハイレゾは秋田県男鹿市内の旧払戸小学校を活用し、GPU(画像処理装置)に特化したAIデータセンターを新設する。2026年3月12日に秋田県および男鹿市と立地協定を締結し、同社にとって5拠点目、廃校活用型としては3拠点目となる計画だ。
同社は「計算力を通じて世界のイノベーションを加速する」というミッションのもと、地方を中心にデータセンター展開を進めてきた。2019年の石川県志賀町を皮切りに、佐賀県や香川県などで拠点を整備しており、遊休施設の再活用による低コストかつ環境負荷の低い運営モデルを確立している。
提供するGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」は、生成AIやLLM(※)の開発・運用に必要な高性能計算基盤を担う。累計2,000件以上の利用実績を持ち、IT業界に加え製造業や研究機関など幅広い分野で活用が進んでいる。
今回の男鹿市での開設も、単なる設備整備にとどまらない。地域と連携したプログラミング教育やデジタル人材育成、産業振興への貢献を視野に入れており、地方創生とAIインフラ整備を同時に進める取り組みとして位置付けられる。
※LLM:大規模言語モデル。大量のテキストデータを学習し、文章生成や要約、対話などを行うAIの中核技術。
地方分散AIの利点と課題、展望
地方にデータセンターを分散配置する動きは、電力とデジタル基盤を一体で最適化する「ワット・ビット連携(※)」の観点からも重要性が高まっているとされる。都市部への集中を避けることで、電力負荷の分散や災害リスクの低減につながる可能性があるほか、再生可能エネルギーの活用余地も広がると考えられる。
さらに、廃校など既存資産の再利用は初期投資の抑制や環境負荷低減に寄与する可能性がある。地域住民との接点を持ちやすく、人材育成や雇用創出といった副次的な効果も期待できる点は、メリットの一つといえる。
一方で、安定した電力供給や高速通信回線の確保、運用人材の確保といった課題は依然として残るとされる。特にGPUサーバーは高い電力を消費するため、地域インフラへの負荷やコスト増大が事業継続性に影響を与える可能性も否定できない。
今後は、こうした課題を技術や制度で補完しつつ、地方分散型のAI基盤をどこまで拡張できるかが焦点となる可能性がある。ハイレゾの取り組みは、その実証モデルとして他地域への波及を促す可能性があり、日本全体の計算資源戦略に影響を与える展開になるとも言える。
※ワット・ビット連携:電力(ワット)とデータ(ビット)を一体的に最適配置する政策構想。データセンターの地方分散と再生可能エネルギー活用を促進する。
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