2026年3月12日、日本のHRテック企業カオナビは、タレントマネジメントシステム「カオナビ」の学習管理機能において、AIが動画の文字起こしと要約を行いチャプターを自動生成する「AIチャプター生成」機能の提供を開始した。社内研修などの長尺動画を整理し、学習効率の向上と編集工数の削減を狙う。
AIが社内動画を解析しチャプター自動生成
カオナビは、同社のタレントマネジメントシステム「カオナビ」に搭載されている学習管理システム「ラーニングライブラリ」において、AIが動画内容を解析してチャプターを自動生成する新機能を追加した。対象となるのは、企業が独自に制作するトップメッセージや社内研修、部署紹介などの動画コンテンツである。
新機能では、AIが動画の音声を解析して文字起こしを行い、その内容を要約しながら適切な区切りごとにチャプターを構成する。さらに各区切りに対応したチャプタータイトルも提案される仕組みで、管理者は内容を確認・修正するだけで設定を完了できる。これにより、従来は編集作業に多くの時間を要していた動画コンテンツの整理が大幅に簡素化される。
受講者側の利便性も高まる。動画下部に表示されるチャプタータイトルをクリックすれば、任意の位置から再生が可能となる。長時間の研修動画であっても、必要な部分だけを素早く確認できる設計だ。さらに、画面上には動画の文字起こしが表示されるため、内容をテキストとして確認しながら視聴できる。
企業では近年、独自のノウハウや企業文化を共有するために動画コンテンツの活用が広がっている。しかし、編集作業の負担や長尺動画の視聴ハードルが課題となるケースも多かった。AIによる自動構造化は、こうした社内教育コンテンツの制作と運用の効率化を後押しする取り組みといえる。
社内ナレッジ動画化の利点とAI活用の課題
AIによる動画チャプター生成は、企業内の教育コンテンツの活用方法を変える可能性がある。従来は長時間の研修動画を最初から視聴する必要があったが、チャプター化によって必要な情報へ迅速にアクセスできるようになる。業務の合間に短時間で学習できる環境が整えば、従業員の学習参加率の向上も期待できる。
企業側にとってもメリットは大きいと考えられる。動画制作の編集負担が軽減されることで、経営メッセージや業務ノウハウなどのコンテンツを継続的に発信しやすくなる。特にリスキリング(※)の推進においては、企業固有の知識を効率的に共有できる基盤として活用される可能性がある。
一方で、AIが生成するチャプターや要約の精度については注意が必要となる場合もある。専門性の高い内容や文脈依存の説明では、区切り方やタイトルが意図と異なる可能性も否定できない。最終的な確認を人間が行う運用が重要になると考えられ、AI任せにしすぎない設計が求められる可能性がある。
企業の教育コンテンツはテキストから動画へと移行しつつある。今後、AIによる自動要約や構造化技術が進化すれば、社内動画は単なる研修資料ではなく検索可能な知識データベースへと変わる可能性がある。組織の知識共有のあり方そのものも、今後変化していくとみられる。
※リスキリング:新しい業務や職種に対応するため、従業員が新たなスキルを学び直す取り組み。DXの進展に伴い企業の人材戦略として重要性が高まっている。
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