2026年3月10日、韓国半導体大手のSKハイニックスは、10ナノ級第6世代(1c)工程を採用した16Gb LPDDR6 DRAMの開発に成功したと発表した。1月に米ラスベガスで開催されたCES 2026で公開された製品で、同社は2026年下半期から供給を開始する予定としている。
第6世代LPDDR6開発 速度33%向上
SKハイニックスは、10ナノ級第6世代(1c)工程を適用したモバイル向けDRAM「16Gb LPDDR6」の開発を完了した。製品は2026年1月のCESで初公開され、今回、世界に先駆けて製品開発認証を取得したという。
LPDDRはスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に搭載される低電力メモリーであり、低電圧で動作することで電力消費を抑える特徴を持つ。新たに開発されたLPDDR6は帯域幅を拡大し、従来のLPDDR5と比べてデータ処理速度を33%向上させた。基本動作速度は10.7Gbpsで、既存製品の最大速度を上回る性能を実現している。
また、動的電圧・周波数スケーリング(DVFS)(※)を採用し、利用状況に応じて周波数と電圧を調整することで電力消費を20%以上削減した。高性能が求められるゲームやAI処理時には最大帯域を活用し、通常利用時には消費電力を抑える仕組みである。
同社は2026年上半期中に量産準備を完了し、下半期からスマートフォンやタブレット向けに供給する計画だ。なお、韓国のサムスン電子は2025年11月に第5世代(1b)工程のLPDDR6を公開しており、モバイルDRAM市場では次世代技術を巡る競争が続いている。
※DVFS:Dynamic Voltage and Frequency Scalingの略。処理負荷に応じて半導体の動作周波数と電圧を自動調整する省電力技術。性能が必要な場面では高速動作し、負荷が低い場合は電力消費を抑える仕組みである。
AIスマホ普及を左右するメモリー競争
LPDDR6の進化は、スマートフォンにおけるAI処理の高度化を後押しする可能性が高い。特に、クラウドを介さず端末内部でAI処理を行う「オンデバイスAI」の普及には、高速かつ省電力なメモリーが不可欠である。処理速度の向上と電力効率の改善が両立すれば、生成AIや高度なマルチタスク機能をスマートフォン単体で実行できる環境が広がると考えられる。
利用者にとってはバッテリー持続時間の延長やアプリ動作の高速化といったメリットが期待できる。一方で、微細化が進む半導体製造は設備投資や開発コストが増大しやすく、価格面への影響が課題となる可能性もある。
さらに、モバイルDRAM市場ではサムスン電子など競合企業との技術競争が激化している。AIスマートフォンの普及が本格化すれば、高性能メモリーの需要は急速に拡大する見込みだ。LPDDR6を巡る主導権争いは、今後のモバイルAI市場の勢力図を左右する要因になり得る。
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