2026年3月10日、東京都港区で開催された「Adobe AI Forum Tokyo」にて、マツダの木谷昭博氏が同社のAI導入の取り組みを紹介したとCar Watchが報じた。生成AIを軸とした業務改革の方針が示された。
マツダCIO、AI活用の目標は業務の99%自動化
イベントには自動車、製造、マーケティングなど幅広い業界の企業が参加し、AI活用事例やソリューションの紹介が行われた。
マツダからは常務執行役員兼CIOの木谷昭博氏が登壇し、同社が進めているDX(デジタルトランスフォーメーション)およびAX(AIトランスフォーメーション)について説明した。
木谷氏によると、マツダは比較的早い段階からDXを推進してきた企業の一つであり、現在はAIを軸としたAXへの取り組みを加速している。
特にLLM(大規模言語モデル※)の登場以降、本部長が主導する形で業務への導入検討が進み、どの業務をAIで処理できるかを各部署で検証しているという。
同社が将来的に目指すのは、日常的に繰り返される「エッセンシャル業務」をどれだけ減らし、付加価値の高い業務をどれだけ増やせるかという姿である。その実現に向け、現在は社内業務の再点検を進めているという。
また木谷氏は、エンジニアにはAI開発の目標を「99%」に設定するよう求めていると述べた。70%程度の自動化では残りの30%を人が処理する必要が生じ、結果として現場で使われなくなる可能性が高いとしている。
さらにAI導入を進める中では、課題がAIではなく自社の業務基準の設計にある場合もあるとし、業務フローの見直しも進んでいる現状を紹介した。
※LLM(大規模言語モデル):大量のテキストデータを学習して自然言語の理解や生成を行うAIモデル。文章作成、要約、検索支援など多様な業務で利用が広がっている。
AI活用の理想と現実 企業変革の試金石
マツダが掲げる「業務の99%をAIに任せる」という目標は、企業のAI導入が実用段階へ進んでいることを象徴する考え方といえる。AIを単なる効率化ツールではなく、業務プロセスそのものを再設計する前提で活用する姿勢とも受け取れる。
この考え方が実現すれば、AIが定型的な業務を担い、人間は企画立案や意思決定など付加価値の高い業務に集中できる余地が広がるだろう。
特に製造業では設計や品質管理、サプライチェーン分析など複雑な判断が求められるため、人的リソースの再配置は競争力に直結する可能性が高い。
一方で、AIの精度を業務レベルまで高めるには大量のデータ整備とルール設計が欠かせないはずだ。
AIの能力不足よりも、企業側の業務基準や評価方法がAIと適合していないケースも多く、導入プロジェクトが組織改革へ発展する可能性もある。
それでも、生成AIの進化と企業データの活用が進めば、AIが企業活動の基盤として機能する場面は今後さらに増えていくだろう。
製造業におけるAI活用の方向性を示す取り組みとして、今回のマツダの事例は一定の示唆を与えるものとなりそうだ。
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