2026年3月10日、KDDIは生成AIを活用した自律型AIエージェントによる問い合わせ対応を開始すると発表した。デジタルヒューマンと組み合わせた「auサポート AIアドバイザー」などで活用され、顧客サポートの高度化と利便性向上を目指す取り組みだ。
KDDI、生成AIエージェントで顧客対応を自動化
KDDIは、生成AIを活用した自律型AIエージェントによる顧客問い合わせ対応を開始する。主にデジタルヒューマン(※)を用いた「auサポート AIアドバイザー」と、スマートフォンアプリやウェブサイトから利用できる「チャットサポート」で運用される予定だ。
このAIエージェントは、同社のお客さまセンターに蓄積された応対データを基に独自開発された。実際のコミュニケーターの対応を分析し、顧客が迷いやすいポイントや課題を抽出したうえで、最適な応対手順を自律的に判断する仕組みを備えている。
利用者の質問に対しては追加の確認や補足質問を行いながら、会話に近い自然な表現で問題解決を支援することが特徴である。従来のAIチャットボットでは、あらかじめ設定されたシナリオに依存するケースが多く、意図認識が不十分で会話が成立しにくい場面が課題とされてきた。今回のAIはこうした問題の改善を狙う。
初期段階では「au PAY」「au PAYカード」「Pontaポイント」に関する問い合わせに対応する。今後は対象サービスを段階的に拡大し、2026年度内にはauサービス全体での導入を目指す計画だ。なお、開発と導入はデータ分析企業ARISE analyticsの支援を受けて進められている。
※デジタルヒューマン:CGやAIを用いて人間のような外見や表情、音声を再現する仮想人物。接客や案内業務などで活用され、自然なコミュニケーションを実現する技術として注目されている。
AIサポート拡大 利便性と運用課題
KDDIのように生成AIを顧客サポートへ導入する取り組みは、企業と利用者の双方に大きなメリットをもたらす可能性がある。問い合わせ業務は件数が多く対応内容も多様であるため、AIエージェントが実用化されれば待ち時間の短縮や24時間対応の実現につながると考えられる。オペレーターの業務負担を軽減しながら、サポート品質の維持やコスト効率の改善も期待できるだろう。
一方で、生成AIを顧客対応に活用する場合、回答の正確性や責任の所在といった課題も無視できない。料金や契約条件など重要な情報を扱う領域では、誤回答が顧客トラブルにつながる可能性がある。AIの判断をどこまで自動化するか、人間のオペレーターへどの段階で引き継ぐかといった運用設計が、今後の実用化において重要な検討課題になる可能性がある。
通信業界では近年、AIによるサポート自動化の動きが世界的に広がりつつある。KDDIの取り組みは、日本の通信企業が生成AIを顧客対応へ導入する事例の一つとなる可能性がある。今後は金融や小売など、問い合わせ対応が多い業界へ同様の仕組みが広がっていく展開も考えられる。
関連記事:
KDDIら、au Starlink Directで海上SOS実証 圏外海域の通報体制を検証

KDDIとAVITAがフィジカルAIで提携 国産ヒューマノイドを接客や医療分野へ
