2026年3月9日、国内の電通グループ5社は、企業の人的資本経営を支援する横断組織「dentsu Japan Human Capital Growthセンター」を設立したと発表した。AIやデータ活用を活かし、人材戦略や企業文化改革を一体で支援する体制を構築する。
電通5社が人的資本支援センター設立
電通グループは、人的資本領域の成長を支援する横断組織「dentsu Japan Human Capital Growthセンター」を設立した。参加するのは株式会社電通総研、株式会社電通、イグニション・ポイント株式会社、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングスの国内5社である。各社の専門人材とケイパビリティを集約し、企業の人材戦略や組織変革を統合的に支援する体制を構築する。
近年、日本企業では人的資本経営(※)の重要性が高まっている。人的資本情報の開示義務化が進む中で、人材戦略を経営課題として扱う企業が増加している。一方で制度やシステムを導入しても、社員のエンゲージメント低下やデータ活用不足などにより、施策が企業価値の創出につながらないケースが少なくないという。
電通グループによれば、クライアント企業からは「人事施策が価値創造に結びつかない」「人材データが十分に活用されていない」といった相談が増えている。そこで新センターでは、事業戦略と人事施策、企業文化と組織設計などを一体的に設計し、人と組織の活性化を通じて企業の競争力向上を支援する方針だ。
同センターには、電通のビジネストランスフォーメーションやマーケティング組織、電通総研のHCM本部、電通デジタルのトランスフォーメーション戦略部門、セプテーニ傘下の人的資産研究所などが参画する。人材戦略、採用ブランディング、企業文化改革といった領域を横断した統合サービスの提供を目指す。
また今後はAIやデータ活用を拡張し、人的資本やエンゲージメントを高めるプロセスを分析する仕組みを構築する予定である。大学や研究機関との共同研究も進め、人的資本経営に関する新たな知見の蓄積と発信を図るとしている。
※人的資本経営:従業員をコストではなく企業価値を生み出す資本と捉え、人材投資や組織戦略を通じて中長期的な企業価値向上を目指す経営手法。近年は人材データの開示やエンゲージメント指標の活用などが重視されている。
AI人事の拡大 効率化と倫理課題
また、人事データを活用することで企業文化や組織状態の可視化につながる可能性がある点も利点と考えられる。従来は感覚的に語られがちだった組織課題を定量的に把握できれば、改革の優先順位を明確にすることも可能になる。人的資本経営を「実行可能な戦略」に変える技術として、AIの役割は今後さらに拡大していくとみられる。
一方で、従業員データの扱いについては慎重な対応が重要になると考えられる。行動データや評価データを分析する場合、プライバシー保護や透明性の確保が課題になる可能性もある。
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