2026年3月9日、米IT大手のMicrosoftは、生産性ツール「Microsoft 365 Copilot」の機能拡張を発表した。これまでOpenAIのAIモデルのみを採用していたが、新たにClaudeの選択が可能になる。さらにPC作業をAIが代行する新機能も公開され、業務AIのあり方が大きく変わる可能性がある。
CopilotがClaude対応 AIモデル選択時代へ
今回の発表の中心となるのは、Microsoft 365 CopilotでClaudeをAIモデルとして選択できるようになる点だ。ClaudeはAI企業のAnthropicが開発する生成AIで、推論能力や安全性の高さから近年評価を高めている。
これまでMicrosoft 365 CopilotではOpenAIのGPTシリーズのみが利用可能だった。MicrosoftはOpenAIに早期から巨額投資を行い、同社のAIモデルを優先的に採用してきた経緯がある。そのためCopilotのチャット機能ではGPT系モデルのみが選択肢となっていた。
しかしAI開発競争は急速に激化している。GoogleのGeminiやClaudeなどの性能向上により、用途によってはGPTを上回る評価も出始めた。こうした状況の中で、1つのAIモデルに依存する構造は競争上のリスクになりつつある。
今回の拡張では、新機能「Copilot Cowork」も研究開発プレビューとして公開された。これはClaudeのエージェント型AI機能「Claude Cowork」を基盤とするもので、PC上の作業をAIが自律的に実行できる仕組みだ。
ファイル操作やデータ分析、メール確認、資料作成などをAIが代替するほか、必要に応じてシェルスクリプトやPythonコードを生成しながら作業を進める。WordやExcel、PowerPointなど主要アプリにもエージェント機能が組み込まれる予定であり、Copilotの役割は単なる文章生成ツールから業務実行AIへと広がりつつある。
AIが業務を実行する時代 生産性革命と新たな課題
Copilotが複数AIモデルに対応することで、企業ユーザーは用途に応じて最適なAIを選択できるようになる。文章生成、分析、プログラミングなど得意分野が異なるAIを使い分けられるため、業務効率の向上につながる可能性は高い。
さらにエージェント型AI(※)が実用化されれば、PC作業の多くは人間が直接操作する必要がなくなるかもしれない。資料作成やデータ整理、メール対応といった日常業務をAIが処理し、人間は意思決定や企画に集中する働き方が現実味を帯びてくる。
一方で、企業データやメール処理をAIに委ねることへのセキュリティ懸念もある。複数のAIモデルを併用する環境では、情報管理やアクセス制御のルール設計が新たな課題となる可能性がある。
また、AIが業務の実行主体になることで、ソフトウェアの役割も変わりつつある。これまでのPCは「操作するツール」だったが、今後は「指示を出す相手」へと変化する可能性がある。Microsoftの今回の動きは、AIが人間の作業パートナーになる時代の入口を示す出来事と言えるだろう。
※エージェント型AI:ユーザーの指示に基づき、複数のタスクを自律的に実行するAIの仕組み。質問に答えるだけでなく、ファイル操作やデータ処理など実際の作業を継続的に行える点が特徴とされる。
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