2026年2月24日、京都大学の研究グループは、仏教の教えをもとに人間の悩みに助言するヒト型ロボット「ブッダロイド」を公開した。音声対話や歩行、合掌などが可能で、僧侶の宗教儀礼を補助する将来的な活用も視野に入れている。
仏教経典と生成AIを融合 悩みに答えるロボット
ブッダロイドを開発したのは、京都大学「人と社会の未来研究院」の熊谷誠慈教授と民間企業による研究グループである。仏教経典に基づく対話AIをヒト型ロボットに搭載し、人間の相談や悩みに対して仏教の教えを踏まえた助言を行う仕組みを構築した。
研究の原点は2021年に開発された「ブッダボット」にある。釈迦と弟子の問答を記した仏教経典を非生成型AIに学習させ、ユーザーの質問に応じて関連する教えや解釈を提示するシステムとして開発された。その後、生成AIを取り入れて機能を強化した「ブッダボットプラス」が登場し、より自然な対話や説明が可能になった。
今回のブッダロイドは、このブッダボットプラスをヒト型ロボットに搭載したものだ。身長は約130センチ、重さは約35キロで、音声による対話ができるほか、ゆっくりと歩行する機能も備える。さらに合掌やお辞儀といった仏教的な所作も再現できるよう設計されている。
京都市東山区の青蓮院で行われた公開イベントでは、僧侶との対話も披露された。社会に必要な仏教の教えについて問われると、「互いを傷つけず、規則を守り、心を整える教えが必要だと思う」と応答し、仏教の価値観を踏まえた回答を示した。
宗教×AIは広がるか 利点と倫理課題
AIとロボットを宗教分野に応用する試みは、新しい相談の形を生む可能性がある。人間には話しづらい悩みでも、ロボット相手であれば心理的ハードルが下がる場合があるためだ。対話型AIが宗教的助言を提供する仕組みは、精神的ケアの入り口として活用される可能性もある。
また、宗教界では人手不足などの課題も指摘されており、宗教儀礼の補助や参拝者対応をテクノロジーで支える活用も考えられる。身体性を持つロボットを用いれば、単なるチャットボットより宗教的な体験に近い対話環境を提供できる可能性もある。
一方で、宗教儀礼をAIがどこまで担うべきかについては、今後議論が広がる可能性がある。信仰は精神性や文化的背景と深く結びついており、ロボットによる代行が信者に受け入れられるかどうかは未知数だ。
熊谷教授も「どの程度まで人の補助や代行ができるか、議論を深めていく必要がある」としており、宗教とAIの関係は今後模索が進んでいく段階にあると考えられる。
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