2026年3月5日、消費者庁は、「自宅のインターネット料金が安くなる」と電話勧誘を行い、一方的な契約を行った後にクーリング・オフを拒否するなどの行為が確認された通信事業者について注意喚起を公表した。
「ネット料金が安くなる」勧誘の実態
今回問題となったのは、札幌市の合同会社フォーカスである。
消費者宅やスマートフォンに電話をかけ、「現在よりインターネット料金が安くなる」と説明し、通信サービスの契約を勧誘しているという。
具体的には「今は7,000円くらい払っていると思うが、当社では3,700円になるのでおすすめである。」「料金が4,000円程度とお手頃である。」といった説明が行われ、料金が大幅に下がるかのような勧誘が行われる。
さらに「事前説明資料」と題した資料をFAXで送付したり、同社のウェブサイトを確認するよう指示したりするなどして、安価な料金プランであると認識させる手法が取られていた。
その後、消費者からクレジットカード情報を取得すると、数日から1週間後にモバイルWi-Fi機器と契約書類が一方的に送付されるケースが確認された。
契約書には消費者の個人情報が記入済みとなっており、「電話だけで契約したことになっているのか」と消費者が驚くものであったという。
さらに、消費者が契約解除を申し出ても「契約をしたんだからそれなりの責任を取ってもらう。」「今さらクーリング・オフ(※)は迷惑だ」などと高圧的な対応を行い、解除に応じないという。
消費者庁は、こうした行為が消費者を威迫して困惑させる行為に該当すると判断し、消費者安全法第38条に基づき注意喚起を行った。
※クーリング・オフ:訪問販売や電話勧誘販売などで契約した場合、契約書面を受け取った日から一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度。通信サービスでは電気通信事業法の「初期契約解除制度」と併用される場合がある。
規制強化の可能性と消費者防衛
今回の注意喚起は、通信契約の電話勧誘が依然として消費者トラブルの温床になり得ることを改めて示したと言える。
一方で、行政機関が具体的な事業者名を公表することには、被害拡大を抑止するというメリットがありそうだ。情報公開によって消費者の警戒心が高まり、同様の手口に対する社会的な認知も進む可能性がある。
ただし、課題も残りそうだ。
一般的な通信サービスであっても、料金体系やオプションが複雑なケースが多いため、消費者が契約内容を十分に理解しないまま契約してしまう構造が存在し得る。こうした状況では、制度としてクーリング・オフが存在していても、期限や条件を知らないまま利用できないケースが生じやすいと考えられる。
契約手続きの透明性や説明義務の在り方について、規制の見直しが議論される余地は大きそうだ。
消費者自身の防衛意識も重要になるだろう。突然の料金値下げをうたう電話勧誘には慎重に対応し、クレジットカード情報の提供は最小限にとどめる必要がある。
疑問や不安がある場合には、消費者ホットライン「188」などの公的窓口へ相談することが、トラブル回避の有効な手段となるはずだ。
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