2026年3月3日、日本プロ野球選手会は、2025年のクライマックスシリーズおよび日本シリーズ期間中に実施したSNS誹謗中傷監視の結果を公表した。
AI検出システムを用いた調査により、精査後に466件の誹謗中傷投稿が確認されたことが明らかになった。
AI監視で誹謗中傷466件を認定
今回の調査は、2025年10月8日から11月2日までの期間に投稿されたSNS上のコメントを対象として実施された。
対象となったのはX、Instagram、Facebook、TikTokの4サービスで、クライマックスシリーズに進出した6球団に所属する79選手の公式アカウントへの投稿を分析した。
検出には英国のSignify Groupが提供するAI誹謗中傷検出サービス「Threat Matrix」が用いられた。AIが誹謗中傷の疑いがある投稿2917件を抽出し、その後専門アナリストが内容を精査した結果、最終的に466件が誹謗中傷と認定されたという。
投稿内容の内訳を見ると、人格攻撃や罵詈雑言が56.2%と半数以上を占めた。
次いで「全力プレーではない」などの揶揄が17.8%、人種差別が8.1%、暴力や脅迫に該当する内容が7.4%となり、その他の分類が10.5%だった。
日本プロ野球選手会の近藤健介会長(福岡ソフトバンクホークス)は「選手とその家族を守るため、誹謗中傷行為に対し、断固とした姿勢で臨んでまいります。」とコメントした。
選手会は日本野球機構(NPB)や各球団と連携し、試合観戦禁止処分や警察への通報を含む対応策の検討を進めている。
AI監視がスポーツ界にもたらす変化
AIを活用した誹謗中傷監視の導入は、スポーツ選手のメンタルヘルス対策として一定の効果が期待できる。
投稿の量が膨大なSNSでは人手だけで監視することが難しく、AIによる自動検出は被害の早期把握に役立つ仕組みといえる。
また、数値として実態が可視化されることで、球団やリーグが具体的な対策を講じやすくなるだろう。誹謗中傷の傾向を分析すれば、SNS運用のガイドライン整備や教育プログラムの構築にも活用できる可能性がある。
一方で、AI判定には誤検出や文脈の誤解といった課題も残る。
スポーツの世界では批評や戦術議論が活発に行われるため、どこまでを誹謗中傷とみなすかという線引きが曖昧になる場面も想定される。
それでも、スポーツ界でのAI監視導入は、オンライン上の行動に対する社会的責任を強く意識させる契機になり得る。
ファン文化を守りつつ健全な議論の場を維持できるかどうかが、今後のSNS時代のスポーツ運営における重要なテーマとなりそうだ。
日本プロ野球選手会 クライマックスシリーズおよび日本シリーズにおける誹謗中傷検出システム導入の実施結果について
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