2026年3月5日、ソフトバンクは災害時の通信確保を目的とする「有線給電ドローン無線中継システム」の改良型を全国10拠点に配備したと発表した。
衛星通信Starlinkをバックホール回線として追加し、被災地で迅速に臨時通信エリアを構築する体制を整えた。
災害用ドローン基地局を全国10拠点に配備
ソフトバンクは、災害時の通信確保を目的とした「有線給電ドローン無線中継システム(ドローン基地局)」の改良型を全国10拠点に配備し、運用体制を整備した。
2022年に初期配備を開始して以降、実証や災害現場での運用を通じて得られた課題を踏まえ、機体や運用機能の改良を行ったという。
ドローン基地局は、現地到着後およそ30分以内に通信エリアを構築できる仕組みである。
ドローンを上空に停留飛行させることで半径数キロメートルの通信範囲を確保でき、電力は地上から有線ケーブルで供給される。
このため、連続100時間以上の運用が可能とされている。
改良型では、機体の組み立て機構や給電ケーブル構造を見直し、設営作業を簡素化した。
さらに自動離着陸機能を追加し、遠隔監視・遠隔制御機能を改善するとともに、操縦信号の通信品質を評価して操縦システムの安定性を高めている。
寒冷地での運用を想定した性能評価も実施され、低温環境での運用性も向上した。
バックホール回線には衛星通信サービス「Starlink(※)」が追加された。
災害時の通信確保手段の冗長性と柔軟性を向上させるための措置である。
2026年1月末までに北海道、東北、関東、東海、関西、北陸、中国、四国、九州、沖縄の全国10拠点への配備が完了している。
※Starlink:米SpaceXが提供する低軌道衛星インターネット通信サービス。多数の衛星を用いて高速通信を提供する仕組みで、地上インフラが損傷した災害時の通信手段として利用が広がっている。
災害通信の多層化が進む可能性
ドローン基地局は、被災地で通信を迅速に確保する手段として有効な技術になり得る。
設備が損傷した地域でも空中から通信エリアを構築できるため、救援活動や住民の安否確認などの情報連絡を早期に回復できそうだ。
また、衛星通信と組み合わせることで、通信手段を複数確保できる点も強みになり得る。
地上回線が途絶した場合でも別の通信経路を確保できるため、災害時の通信断絶リスクを分散できる可能性がある。
こうした多層的な通信インフラは、近年の大規模災害を踏まえて重要性が増している分野といえる。
一方で、実際の災害現場では強風や悪天候など飛行条件が厳しくなることもあるため、ドローン運用の安全性や安定性は継続的な検証が必要になるはずだ。
運用人員の確保や機材輸送の体制など、迅速な展開を実現するための運用面の整備も重要な課題となるだろう。
今後、機体の小型化や運用の自動化などが進めば、より多くの地域での展開が可能になると考えられる。
通信事業者と自治体、防災機関の連携が進むことで、災害時の通信確保の新たな手段として活用範囲が広がる可能性もありそうだ。
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