2026年3月3日、GPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」を展開するハイレゾは、香川県綾川町に「綾川町データセンター」を開所した。廃校となった中学校の体育館下を改装したGPU専用施設で、地方の遊休資産をAIインフラに転用する新たなモデルとして注目される。
廃校体育館下にGPUデータセンター
ハイレゾが開所した「綾川町データセンター」は、2022年に廃校となった綾川町立綾上中学校の体育館下を改装して整備されたGPU専用データセンターである。かつて駐輪場や部活動の練習スペースとして使われていた地下空間を、AI計算用インフラとして再利用した。
施設の床面積は約1008平方メートルで、投資額は110億円。AIの学習や推論に対応するため、米半導体大手のGPUを採用し、NVIDIA H100、A4000を導入している。今後はさらに高性能なウルトラハイエンドGPUの設置も予定されており、AI開発や研究用途の計算需要に応える拠点となる見通しだ。
また、校舎部分は地域コミュニティスペースとして活用される計画である。旧校舎の教室をメモリアル記念館や交流オープンスペースとして整備し、地域住民が自由に集える施設へと再生する構想が進んでいる。
ハイレゾはこれまで石川県志賀町でGPU専用データセンターを運営し、香川県高松市や佐賀県玄海町にも拠点を展開してきた。特に玄海町では日本初とされる廃校活用型データセンターを開設しており、今回の綾川町拠点は自治体の遊休資産を活用した3カ所目の施設となる。
同社は地方施設を活用したデータセンター整備を通じて、AIインフラの分散化と地域活用を同時に進める方針を掲げている。
廃校データセンターの利点と課題
AI需要の急拡大に伴い、データセンターの建設コストや環境負荷は世界的な課題として指摘されている。既存施設を転用する今回のような手法は、新規建設に比べて資材使用量を抑えられるため、環境負荷の低減につながる可能性がある。ハイレゾもこうした取り組みをGX(※)の一環として位置付けている。
さらに、AI計算基盤を都市部だけでなく地方に分散させる点にも意義があると考えられる。政府が推進する「ワット・ビット連携(※)」の考え方では、電力供給とデジタルインフラを地域単位で最適化し、地方にデータセンターを分散させることで経済活性化を図るとされる。廃校施設の活用は、その実践例の一つとみることもできる。
一方で、AI向けデータセンターは大量の電力と冷却設備を必要とする。GPUを大量に稼働させる施設では、地域電力網への負荷や設備更新コストが課題になる可能性もある。地方分散型のAIインフラが持続的に拡大するかどうかは、エネルギー供給や運用効率とのバランスに左右されると考えられる。
もし廃校や遊休施設を活用したデータセンターが広がれば、AI計算基盤の地方分散が進む可能性もある。AI時代のインフラ整備と地域資産の再活用を結びつけるモデルとして、今後の展開が注目される可能性もある。
※GX(グリーントランスフォーメーション):脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー化などを通じて経済活動と環境対策を同時に進める取り組み。
※ワット・ビット連携:電力(ワット)とデータ通信・計算処理(ビット)のインフラを一体的に整備する政策概念。データセンターを電力供給と合わせて地方に分散配置することで、デジタル基盤と地域経済の強化を目指す。
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