2026年2月27日、東証スタンダード上場の株式会社ダイドーリミテッドは、最大10億円分のビットコイン(BTC)購入を決議したと発表した。国内老舗アパレル企業が余剰資金を暗号資産へ振り向ける動きである。
中計見直しでBTC最大10億円取得
同社は2029年3月期までの3か年中期経営計画の見直しにあわせ、全社戦略や資本政策、株主還元方針の変更を進めている。M&Aを含む成長投資拡大に向け、資産売却や資金調達を実施する方針であり、その過程で生じる余剰資金の一部をBTCとして保有する。
取得上限は10億円で、購入期間は2026年3月2日から4月30日までを予定している。
背景には、インフレや円安進行による現預金の実質価値目減りへの対応がある。発行上限が定められたBTCを価値保存手段と位置づけ、資産の分散を図る構えだ。
運用面では、高度なセキュリティ体制を備えた主要交換所で取引を行い、四半期ごとに時価評価を実施する。評価損益は損益計算書に反映され、業績に著しい影響が生じた場合は速やかに開示するとしている。
市況や資本政策を踏まえ、追加取得や一部売却も検討対象となる。
資本効率向上と価格変動リスク
今回の判断は、伝統的な内需企業が財務戦略の一環として暗号資産を組み入れる事例として注目できる動きである。
低金利環境下で滞留しがちな余剰資金を価格変動性のある資産に振り向けることで、将来的に評価益が発生した場合にはROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)の押し上げ要因となる可能性がある。
BTCは既存資産との相関が相対的に低いとされているため、分散投資効果も見込まれる。
一方で、BTCは高いボラティリティ(※)を伴う資産だ。
四半期ごとの時価評価による評価損益が損益計算書に直結することにより、業績の振れ幅が拡大する可能性もある。特に本業の収益変動と重なった場合、投資家心理に影響を与える局面も想定される。
今後は、価格推移と業績影響の実績が業界全体の判断材料となるかもしれない。
成功事例となれば、内需型上場企業にも暗号資産保有の流れが広がる可能性がある。一方で大幅な評価損が顕在化すれば、慎重姿勢が再び強まる展開も否定できない。
※ボラティリティ:価格変動の大きさを示す指標。数値が高いほど短期間で価格が大きく上下しやすいことを意味する。
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