2026年2月26日、株式会社HERP(東京都品川区)は「採用活動におけるAI活用とセキュリティに関する実態調査」の結果を公表した。
AI利用者の約3割が未承認の個人AIツールを使い、候補者情報を入力している実態が明らかになった。
採用現場で広がる個人AI活用
調査は2026年1月29日から2月10日にかけて、採用担当者、人事責任者、経営者、現場社員を対象にインターネットで実施された。
回答者は計331人で、採用活動におけるAI活用の実態と社内ルールの整備状況を把握する目的で行われた。
その結果、採用業務でAIを「頻繁に利用している」と答えた人は22.2%、「時々利用している」は42.9%となり、6割超が何らかの形で活用している状況が確認された。
利用ツールでは「会社や部署として公式に導入されているツール」が64.0%を占めた一方、「個人のAIツール(アカウント)」は29.9%、「両方」は6.1%だった。
活用シーンとして最も多かったのは「スカウト文面の作成」で50.9%に上る。次いで「面接・面接結果の要約・整理」が41.6%、「書類選考の補助」が35.0%、「候補者やエージェントへの連絡文面の作成」が30.4%と続いた。
個人のAIツールを利用している人が入力している情報では、「面接時の議事録やメモ」が35.9%で最多となった。
「候補者に関する情報」は32.8%、「面接官による評価コメントや懸念点」は28.1%、「自社の求人に関する情報」は21.9%だった。
さらに、個人ツールのみを利用し、これらのいずれかを入力した経験がある人は73.4%に達した。AI利用に関する公式ルールについては「ない」が46.2%、「分からない」が6.5%という結果であった。
利便性と情報管理リスクの両立課題
採用業務は大量の応募書類や面接記録を扱うため、生成AIの導入は作業時間の短縮に直結しやすい。
スカウト文面や面接要約の自動化は、担当者の負担軽減につながり、選考スピードを高める効果が期待できる。特に人手不足が続く企業にとっては、生産性向上の即効性ある手段となり得る。
一方で、候補者情報や評価コメントといった機微情報を未承認ツールに入力する行為は、情報管理体制の観点から重大なリスクを伴う。
外部サービスへのデータ送信がどの範囲まで許容されるのか不明確なまま利用が進めば、情報漏えい時の責任所在も曖昧になりかねない。
また、公式ルールが整備されていない企業が約半数に上る現状は、技術導入のスピードにガバナンスが追いついていないことを示唆する。
現場主導での活用が先行すれば、意図せぬシャドーIT化が進む可能性もある。
今後は、AI活用を前提とした明確な運用指針と教育体制の構築が不可欠になるだろう。
利便性とセキュリティを両立できる体制を構築できるかどうかが、今後の採用DXの成否を左右すると考えられる。
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