2026年2月27日、電通総研とTOPPAN、医針盤は、宮崎県延岡市で市民のPHR(Personal Health Record)情報とデータ連携基盤を用いたAI勧奨配信システムを構築し、「のべおか健康サポート」で提供開始すると発表した。
2月27日から延岡市の通知サービス「のべおか健康サポート」での提供を開始している。
PHRとCIVILIOS連携、AIで個別勧奨
3社が構築したのは、市民同意のもとで収集した健康情報・行動情報をAIで分析し、個々の状態に応じたメッセージを配信する仕組みである。
医針盤のPHRアプリ「ウィズウェルネス」と、延岡市が整備する電通総研のデータ連携基盤「CIVILIOS」、TOPPANの健康データ分析環境を接続し、収集→分析→フィードバックのサイクルを自動化する。
分析には国立循環器病研究センターの「健康リスク分析AI」を用い、MCI(軽度認知障害)や糖尿病、高血圧、脂質異常症、要介護のリスクを評価し、従来の一律配信ではなく個人に合わせたヘルスケアサービスの提供を狙う。
健康行動の達成状況に応じ、デジタル地域通貨「のべおかCOIN」付与にも対応するとのことだ。
なお本件は、延岡市が2023〜2025年度に進める行動変容促進事業の一環として構築された。医療分野の人手不足や地域コミュニティの希薄化という課題があり、延岡市はデジタル技術やアプリを使った福祉課題の解決を目指している。
自治体DXの新型モデル、鍵は同意と説明責任
PHRと都市データ基盤を束ね、AIで個別メッセージを送る仕組みは、自治体の健康増進施策を一律のものから個別最適をしたものへ転換しうる。
通知の最適化とインセンティブ設計が噛み合えば、健康寿命の延伸だけでなく、地域通貨による消費喚起を通じた地域経済の下支えにも波及する可能性がある。人材不足が深刻化する中、データ連携基盤を軸に運用負担を増やさず継続できる点も、横展開の条件になり得るだろう。
一方で、個別勧奨はプライバシーと安全性の要求水準が高いと考えられる。市民同意の設計、データの目的外利用防止、第三者提供の範囲、誤推定や偏りが生む不利益への救済といった説明責任が問われるだろう。
勧奨の表現が医療行為と誤認されない線引き、過度な通知による反発、リスク判定が不安を煽る副作用も想定すべきだ。
延岡市での「ヘルスケア分野でのAIを活用した個別勧奨は初」だという。効果検証の透明性と運用高度化のプロセスが、次の自治体導入の判断材料になりそうだ。
関連記事:
電通総研、生成AIサービス「minnect AIアシスト」新版を提供開始 自治体向けにRAG強化・個人情報保護も

