2026年2月26日、国内の株式会社日立ソリューションズは、文書の秘密度を生成AIが自動識別する「機密情報分類サービス」のトライアル版を提供開始すると発表した。AIへの過剰共有リスクに対応する企業向けに先行提供する取り組みである。
文書作成中に秘密度を二層判定
同サービスは、文書の作成段階で秘密度を自動判定し、作成者にリアルタイムで設定を促す仕組みを持つ。過剰共有(Over-Sharing)とは、適切に分類されていない機密情報が生成AIの回答生成に利用され、意図せず外部に共有されてしまう状態を指す。
技術面では、日立と共同開発した分類エンジンを活用し、段落単位と文書全体の二階層で秘密度を判定する構造を採用した。判定結果に加えて根拠も提示することで、作成者が業務の流れを止めずに分類できる設計となっている。企業は運用負荷を抑えながら情報管理の徹底を図れるという。
さらにMicrosoft PurviewをはじめとするDLP(※)製品と連携し、秘密度に応じたアクセス制御や共有制限を実施可能だ。既存のMicrosoft 365環境を生かしつつ導入できる点も特徴である。今回のトライアルでは判定精度と文書作成中に分類結果を提示するUXの有効性を検証し、5月末の正式版提供を目指すとしている。
※DLP(Data Loss Prevention):機密情報の外部流出を防止する仕組み。データ内容を監視・分類し、持ち出しや不正共有を制御するセキュリティ対策を指す。
AI活用拡大と統制の分岐点
本取り組みのメリットは、生成AIの業務活用を止めることなく、統制を前提とした運用モデルへ転換できる点にあると言える。文脈や表現の組み合わせから機密性を判断する方式は、従来のキーワード依存型よりも柔軟であり、実態に即した分類が可能になると考えられる。分類の証跡を残せることは、監査対応や内部統制の強化にも寄与するだろう。
一方で、判定精度が不十分な場合は誤分類による業務停滞や現場の反発を招く恐れもある。過度なアラートは利便性を損ない、形骸化するリスクも否定できない。AIによる自動判定を最終的にどこまで信頼するかという点は、今後のガバナンス設計上の検討課題になり得る。
今後、API整備やアクセス権管理の高度化が進めば、文書分類とAI利用制御を一体化した統合モデルへ発展する可能性がある。生成AIの活用競争が進む中、情報統制を組み込んだ基盤整備は、企業の持続的な競争力に影響を与える重要なテーマになりつつある。
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