2026年2月25日、NTTドコモは、生成AIを活用したモバイルネットワーク保守向けAIエージェントシステムの商用利用を、2月4日から開始していたと発表した。世界最大級規模の通信データを実運用に投入する取り組みとなる。
100万台超の装置をAIで横断分析
本システムは、基地局からコアネットワークまで100万台以上のネットワーク装置から収集されるトラフィック情報や警報情報などのデータを、複数のAIエージェントを組み合わせて横断的かつリアルタイムに分析する仕組みである。
従来、手順が確立された故障は自動化で迅速対応してきたが、対処法が明確でない複雑な障害では、複数の保守担当者が膨大なログを収集・分析する必要があり、サービス影響時間の長期化が課題になっているという。
今回のシステムでは、Amazon Web Servicesの「Amazon Bedrock AgentCore(※)」およびAI最適化型データベースを活用することで、複数のAIエージェントがリアルタイムで異常を検知できる。さらに、被疑箇所の特定から対処案提示までを担う構成となっている。
これにより対応時間を従来比50%以上削減し、安定運用に寄与できるとしている。
なお本システムは、2026年3月開催の「Mobile World Congress Barcelona 2026」でも展示される予定である。
※Amazon Bedrock AgentCore:AWSが提供する生成AIエージェント基盤。複数エージェントの安全な統制や外部データ連携を可能にし、大規模環境での運用を想定したマネージドサービス。
自律運用加速の利点とリスク
本件最大のメリットは、人的リソースへの依存度低減と復旧時間の短縮であろう。
通信は社会基盤であるため、障害対応の迅速化は企業活動や公共サービスの安定性向上に直結すると考えられる。
AIが一次分析を担うことで、保守担当者は高度判断に集中できる体制へと移行する可能性が高そうだ。
一方で、AIの誤検知や判断ロジックのブラックボックス化は無視できないリスクだと言える。
特に社会インフラ領域では説明可能性と責任分界の明確化が不可欠であるため、最終判断を誰が担うのかというガバナンス設計は重要になると思われる。
将来的には、6G時代を見据えた自律型ネットワーク運用への布石にもなるかもしれない。
本件に他キャリアが追随することがあれば、通信業界全体の運用モデルが「人手中心」から「AI協働型」へと転換する可能性もありそうだ。
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