2026年2月24日、国内大手の日立製作所は、塩野義製薬と協創し、生成AIを活用した医薬品開発向け規制関連文書作成支援ソリューションの提供を日本国内で開始したと発表した。最大約50%の作業時間削減を確認している。
最大50%短縮、国内提供を開始
日立は塩野義製薬が保有する生成AI活用ソリューションのライセンス提供を受け、2026年2月から国内の医薬品・ヘルスケア企業向けに展開を始めた。本ソリューションは、新薬申請に必要な治験実施計画書や治験総括報告書など、専門性の高い規制関連文書の作成を支援するものである。
医薬品開発では、これら文書の作成に通常3〜5カ月を要し、メディカルライター(※)の実作業は1試験あたり100〜280時間に及ぶ。塩野義製薬での概念実証では、治験総括報告書の作成時間を約50%、治験実施計画書を約20%削減する成果を確認した。
機能面では、日本語と英語が混在する膨大な治験データから必要情報を抽出・要約し、初稿を生成する。国際ガイドラインに沿った構成を踏まえた文書化を支援し、現場業務フローを反映した設計により導入直後から活用可能とする。将来的には日立は、本ソリューションのバイオ医薬品分野への適用もめざしており、Lumada 3.0を体現する「HMAX Industry」の提供を通じて、フロントラインワーカーの現場を革新を視野に入れている。
※メディカルライター:医薬品開発における治験関連文書や承認申請資料を、科学的根拠と法規制に基づいて作成する専門職。高度な医学・薬学知識と文書構成力が求められる。
医薬DXの加速と品質統制の課題
規制文書の効率化は、医薬品開発における主要なボトルネックの一つの解消につながる可能性がある。開発期間が短縮されれば、研究開発投資回収の早期化や、新薬提供の迅速化が期待される。特に文書量が増大しやすいバイオ医薬品分野への応用は、産業全体の生産性向上に寄与する可能性がある。
一方で、規制当局へ提出する文書は高い正確性が求められる領域である。生成AIの出力に対する検証体制や責任範囲の設計が不十分な場合、品質面でのリスクや審査プロセスへの影響が生じる可能性も否定できない。効率化と統制の両立は、今後の重要な論点となるだろう。
今後は、文書自動化にとどまらず、データ管理や治験設計との連携まで発展するかが注目点となる。生成AIを組み込んだ開発プロセスの再設計が進めば、医薬品開発モデルが段階的に変化していく可能性もある。
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