2026年2月20日、博報堂が、コミュニケーションアプリLINEを活用した動物園向け新サービスを発表した。岡山県の池田動物園で期間限定の実証を開始し、キャラクターと会話しながら動物を学べる体験を提供する。
LINEでAI動物解説を期間限定実施
今回発表された取り組みは、メディアミックス作品けものフレンズの世界観を活用した公式AIチャット「ジャパリトーク」を動物園向けに拡張したサービスである。来園者はスマートフォンからガイドロボット「ラッキービースト」と対話し、展示動物の生態や特徴について自由に質問できる仕組みだ。
導入の第一弾として「ジャパリトーク 動物園モード 池田動物園編」を開始し、2026年3月31日までの期間限定で提供される。利用者はLINE上でキャラクターと会話しながら学習でき、施設内の回遊体験と連動した新しい情報提供モデルとなる。
このサービスは、博報堂が2024年に開発したAIチャット基盤を地域振興や教育領域へ展開する試みでもある。キャラクターの個性や口調をAIで再現し、自然な対話を実現している点が特徴だ。
また、従来の看板や説明パネルのような一方向の解説とは異なり、利用者の興味や年齢層に応じて回答内容を調整する設計となっている。開発には同社グループのAI専門家集団「HCAI Professionals」の知見が活用されており、今後は他施設との連携拡大も検討されている。
観光教育DXの利点と課題、今後の広がり
今回の実証は、観光施設における情報提供のあり方を変える可能性を示している。来園者が自分の疑問を起点に学べる仕組みは、理解度や満足度の向上につながると考えられる。特に子どもや若年層にとっては、キャラクターとの対話型体験が学習意欲を高める効果を持つ可能性がある。
また、既存のコミュニケーション基盤であるLINEを活用することで、新たなアプリ導入の負担を減らしながら利用拡大を図れる点もメリットと言える。地域施設や観光地に展開できれば、教育コンテンツと観光DXを同時に進めるモデルとして注目されるだろう。
一方で、AIによる解説の正確性や監修体制は重要な課題になる。教育用途では情報の更新や内容の品質管理が不可欠であり、誤情報リスクへの対応も求められる。さらに、キャラクターIPとAI運用のコストが継続的な事業化のハードルになる可能性もある。
それでも、対話型AIとエンターテインメントIPを組み合わせた体験設計は、今後の施設型コンテンツの方向性を示している。博報堂が他の動物園や博物館、公共教育分野へ展開を進めれば、AIを活用した体験型学習の市場が拡大していく可能性が高い。こうした流れは、観光と教育を融合する新しいデジタル施策として定着する余地がある。
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