2026年2月24日、富士フイルムビジネスイノベーションは、クラウドサービス「FUJIFILM IWpro」にAIチャット機能を3月2日から提供すると発表した。企業内に蓄積された文書を横断検索し、要約と根拠提示まで行う仕組みで、情報活用の高度化を狙う。
RAG活用のAIチャットを正式提供
「FUJIFILM IWpro」は、文書の取り込みからデータ抽出、編集、出力までを支援するクラウド基盤である。ワークスペース単位で資料を集約し、関係者間で共有・編集できる点が特長だ。
今回追加されるAIチャット機能は、ワークスペース内に蓄積された複数の文書を横断的に検索し、質問に対する要約回答と根拠箇所へのリンクを提示する。利用者はチャットに質問を投稿するだけで、関連資料の内容をまとめて把握できる。
技術面ではRAG(※)を採用した。AIは社内文書を参照して回答を生成し、該当ページを明示する仕組みである。これにより、生成AI特有のハルシネーション(誤情報生成)の抑制を図るとしている。
提供対象は「FUJIFILM IWpro Standard」および「Light」の契約企業で、開始当初は月2,000回まで利用可能だ。価格はStandardが月額22,000円、Lightが17,600円(いずれも税別)となる。6月1日以降の上限回数は決定次第発表される。
※RAG(検索拡張生成):外部データベースを検索し、その情報を参照しながら生成AIが回答を作る手法。根拠提示が可能となる。
ナレッジ民主化の可能性と運用課題
本機能は、社内に散在するナレッジを対話形式で引き出せる点に価値があると考えられる。業務ルールの確認や技術仕様の参照など、複数資料を横断する場面で検索負荷を下げ、意思決定のスピードを高める効果も期待できる。属人化の抑制や業務標準化を後押しする可能性もある。
一方で、AI回答への過信はリスクとなり得る。根拠リンクが示される設計とはいえ、実務上は利用者が最終確認を行う前提になるとみられる。また、投稿回数の上限やワークスペース設計の巧拙によっては、効果が限定的になる場面も想定される。
今後は、文書管理基盤に生成AIを統合する動きが広がる可能性がある。検索から要約、根拠提示までを一体化する設計は、企業内DXの実装段階への移行を促す一因となることも期待される。
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