2026年2月19日、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏が、インドで開催中の「AIインパクトサミット」で予定されていた基調講演を数時間前に辞退したと複数の海外メディアが報じている。相次ぐ著名人の欠席と運営混乱が重なり、同国のAI外交戦略に影響を及ぼす可能性がある。
ゲイツ氏ら直前欠席、運営混乱も
ゲイツ氏は19日、同サミットで予定されていた基調講演を直前で取りやめた。ゲイツ財団は主要議題に焦点を当てるための判断だと説明している。数日前には欠席のうわさを否定していただけに、突然の辞退は異例の展開となった。
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも出席を見送っている。さらに会場では展示ホールの一般公開が突然中止され、出展企業から不満が噴出した。インドの大学関係者が中国製ロボット犬を自校開発と称して展示し、世論の反発を招いた事案も発生している。
警察が要人移動を優先するため道路を封鎖し、デリー中心部の交通がまひするなど混乱は広範に及んだ。加えて米司法省が公表したジェフリー・エプスタイン氏関連の捜査資料にゲイツ財団スタッフとの電子メールが含まれていたことも報じられている。今回の辞退との直接的な関係は確認されていないが、複合的な要素が重なった可能性はある。
巨額投資と信頼性の分岐点
同サミットではアダニ・グループやデータセンター企業ヨッタ、米マイクロソフトなどがインドのAIプロジェクトに総額1000億ドル超を投じると表明した。資本流入はインフラ整備や雇用創出を促し、インドがグローバルサウスにおけるAI拠点として台頭する契機になり得る。
一方で、国際会議の運営不備やブランド毀損は、海外投資家の評価を左右しかねない。AI分野は信頼と透明性が競争力の源泉であり、ガバナンス※体制の未整備は長期的なリスクとなる可能性がある。
モディ首相はAI空間における子どもの安全確保を訴え、規律ある発展の必要性を強調した。今後は投資規模の拡大と並行して、制度設計や運営能力の高度化が問われる局面に入る。今回の混乱を教訓とし、国際標準に沿った統治体制を構築できるかが、インドのAI戦略の持続性を左右すると言える。
※ガバナンス:組織や国家が透明性や説明責任を確保しつつ意思決定を行う統治の枠組み。国際的な投資や技術連携において信頼性を担保する重要な要素。
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