2026年2月13日、八王子市がAIを活用した電話応対の実証実験を開始した。ごみや税の問い合わせにAIが音声で応じ、行政サービスの運用改革を検証する取り組みである。
AIが電話窓口業務を自動対応
実証は川崎市のIT企業ゼネラルと連携し、同社のAI音声コミュニケーションシステム「GRANTOWN」を用いて実施する。ごみ・資源物の出し方に関する月約3800件の問い合わせや、1〜3月に増える税の一般相談に対し、AIオペレーターが音声で自動回答する。
利用者は専用番号に電話し、音声案内に従って質問を話すとAIがその場で回答する仕組みだ。対応が難しい内容は市の担当部署へ転送されるが、転送は開庁時間内に限られ、AIの応答自体は24時間行われる。
本取り組みは、市が企業や大学などから提案を受ける「共創の窓口」を通じて採択された。企業がシステムの提供や運営を担い、市は問い合わせ内容の整理や回答データの提供、効果検証を担当する役割分担型で進められる。
初宿和夫市長は、複数のAIを組み合わせて自律的に対応するAIエージェント(※)の活用を想定し、行政がAIを使いこなす必要性を強調した。実証期間は3月19日までで、繁忙期の問い合わせ増加を見据えた検証となる。
※AIエージェント:複数のAI技術を組み合わせ、目的に応じて自律的に判断・行動する仕組み。問い合わせ対応や業務の一部を人に代わって実行する次世代の運用形態を指す。
行政AIの利点とリスク、展望
電話対応のAI化は、職員の業務負担を軽減しながら応対品質を均一化できる利点になり得る。24時間対応が可能になれば、市民は時間帯に縛られず情報を得られ、行政サービスの利便性向上につながる可能性がある。
一方で、回答精度のばらつきや誤案内、データ更新の遅れといった課題も指摘される。問い合わせ内容が複雑化した場合の人への引き継ぎ設計や責任の所在も、今後の運用に影響する重要な論点といえる。
それでも、AIが一次対応を担う体制が定着すれば、自治体の窓口業務は「人が処理する業務」から「AIが処理し人が判断する業務」へ再編されていく可能性がある。今回の実証はその転換点となる可能性があり、他自治体や他分野への展開を促す契機になると考えられる。
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