2026年2月17日、日本の家具大手株式会社ニトリホールディングスが、体格データ分析に基づく「AIマットレス」の発売を発表した。2026年4月下旬より国内の一部店舗とオンラインで販売を開始する予定である。
約1万人の体格データで寝心地を自動調整
ニトリは、約1万人の体格データをAIで分析し、寝る人に合わせて硬さを変えるマットレスを開発した。身長・体重・寝姿勢の変化を検知し、内蔵されたエアスプリングが部位ごとに支え方を自動で調整する仕組みである。
製品には、身体の動きに応じて最適な硬さへ変化する「自動適応モード」のほか、ストレッチを促すリラックス機能や、約30℃で温めるヒーター機能を搭載した。就寝前から睡眠中までの環境を一体的に整える設計となっている。
従来の寝具選びは「硬め」「柔らかめ」といった感覚的な基準が主流だったが、体格や体圧のかかり方には大きな個人差がある。今回の製品はデータ分析に基づく個別最適化を前提とし、自然な寝姿勢を維持することを狙った点が特徴だ。価格は税込39万9900円で、4月下旬から販売される予定である。
※AI(人工知能):大量データを分析し最適な判断や制御を行う技術。本製品は学習機能を持たず、事前設計されたアルゴリズムに基づき動作する。
睡眠の個別最適化が広げる可能性
データに基づき寝具が自動調整される仕組みは、睡眠改善市場の拡大を後押しする可能性がある。健康管理や生産性向上への関心が高まる中、個人の身体状態に合わせた寝具は、新たな付加価値として評価されていくとみられる。家具が「使う製品」から「身体に適応する装置」へと役割を拡張していく契機になる可能性もある。
一方で、高価格帯の商品である点は普及の障壁になり得る。機能の高度化がコスト上昇を招いた場合、導入は一部の層にとどまる可能性がある。また、身体データの取得や活用に対する心理的な抵抗、プライバシーへの配慮も今後重要な論点になると考えられる。
それでも、生活家電とセンシング技術の融合は今後さらに進展する可能性が高い。睡眠データと健康管理サービスが連動すれば、医療やウェルネス分野への応用が広がることも想定される。寝具の領域は、AIが日常生活へ浸透していく過程を象徴する市場の一つへ変化していく可能性がある。
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