2026年2月12日、マカフィー株式会社は、バレンタインデーに合わせた年次調査結果を発表した。日本を含む18歳以上の7カ国7,000人を対象に実施されたものであり、AIの進化が恋愛詐欺の構造を変えつつある実態が明らかになった。
調査が示すAI進化の恋愛詐欺
マカフィーの調査によれば、オンラインで恋愛相手を探した経験がある日本の回答者は20%で、前年の29%から減少した。
一方、25〜34歳では46%に達し、SNS(28%)やマッチングアプリ(26%)の利用が依然として活発である。
また、約22%がネット上の相手から送金や金銭情報の共有を求められた経験を持ち、前年の16%から大きく増加した。実際に金銭を失った人は3%にとどまるが、被害者の87%が心理的悪影響を報告している。
AI生成画像やAIチャットボット(※)の影響も顕在化している。
76%がAI画像を用いる相手を信用しないと回答し、53%がAIによる恋愛詐欺リスクを認識しているという。
一方で、AIチャットボットを「少なくとも時々利用する」と回答した人は昨年の20%から29%に増えており、「毎日または週数回利用する」層も8%から16%へ倍増した。さらに12%が、やり取りしていた相手がAIや偽プロフィールだったと後に判明した経験を持つと報告している。
一方、約3割はAIとの関係を「意味のあるつながり」と捉え、12%は「恋愛感情を抱くことは可能」と回答した。特に35歳未満ではその割合が高く、5人に1人まで上昇している。実際に2%は、恋愛感情を抱いた経験があるという。
※AIチャットボット:人工知能が自動応答する対話プログラム。人間に近い自然な文章生成が可能で、悪用時には本人確認を困難にする。
利便性と依存のはざま、今後の課題
AIチャットボットは孤独の緩和や相談支援といった実用的なメリットを持ち得る。
調査では実際に、16%がデートや人間関係の助言をAIから得て行動しており、特に35歳未満の回答者から一定の支持を集めている。心理的ハードルを下げる補助ツールとしての価値は小さくないと考えられる。
一方で、「AIとの感情的関係が詐欺を見逃す恐れがある」とする回答は昨年の26%から67%に急増しており、「AIへの感情的依存が判断力を鈍らせる」という懸念は強くなっているようだ。利便性が高まるほど、攻撃者にとって効率的な接点が拡大する構図には注意が必要だろう。
今後は対策として、本人確認技術や画像検証の高度化が進むと予測できるが、技術対策のみで被害を抑止するのは困難だろう。ユーザー側のリテラシー向上と、プラットフォーム事業者による透明性確保が不可欠になりそうだ。
AIと人間の境界が曖昧になる時代において、健全な懐疑心を持てるかどうかが、安全の分水嶺になると言える。
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