2026年2月9日、米ブルームバーグ通信は、グーグルの親会社アルファベットが償還期間100年の「100年債」を発行する計画だと報じた。将来予測が困難なIT業界では異例の動きである。
アルファベット、AI投資向けに100年債を計画
ブルームバーグ通信によると、アルファベットは英ポンド建てで100年債(※)を発行する方向で検討を進めている。
購入主体として想定されているのは、年金基金や保険会社などであり、長期間の運用を前提とする投資家だ。
技術革新の速度が速いIT業界において、償還まで100年という社債は極めて異例である。
ブルームバーグによれば、IT企業による100年債の発行例は1997年の米モトローラの例以来だという。それ以降は、英オックスフォード大学など一部の教育機関が発行した例が少数ある程度である。
これらの状況を踏まえると、アルファベットの計画は業界史の観点からも注目度が高まりそうだ。
本件の背景には、AI分野への巨額投資がある。
アルファベットは2026年の設備投資額を最大1850億ドルと見込み、前年からほぼ倍増させる方針だ。資金は主にデータセンター建設などに充てられる予定である。
なお、マイクロソフトやメタも巨額の設備投資を進めている状況だ。
※100年債:償還期間が100年に設定された超長期の社債。発行体は長期間にわたり安定資金を確保できる一方、投資家は将来の信用力や市場環境の変化を長期にわたり負担する。
長期資金がもたらす安定と、百年先を背負うリスク
100年債の活用は、アルファベットにとって資金調達の安定性を高める利点がありそうだ。
短期的な金利変動や市場環境に左右されにくいため、回収まで時間を要するAIインフラ投資との親和性が高い可能性がある。
AIを中核事業と位置づける姿勢を、金融面からも裏付ける動きと言える。
一方で、超長期債には固有のリスクも伴う。
今後100年の間に、AI技術や競争環境、規制の枠組みが大きく変化する可能性は否定できない。投資家にとっては、リスク評価が難しい点がデメリットとなるだろう。モトローラ以来の事例となる点も、慎重な見極めを促す要因になりそうだ。
それでも今回の計画は、AI投資が一過性ではなく、数十年規模の成長産業と見なされていることを象徴している。計画が実行に移されれば、AI投資を巡る資金調達の選択肢に一石を投じることになるだろう。米IT大手を中心に、今後は資金調達手法の長期化・多様化が一段と進む可能性がありそうだ。
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