2026年2月10日、日本の化粧品ブランド、アテニアが音声対応のオンライン接客AIを導入したと発表した。ZEALSの技術を活用し、店舗の接客ノウハウを再現した「ハイブリッド通販」を国内で本格展開する。
音声接客AIで通販の常識が変化
アテニアは、直営店舗の美容部員が蓄積してきた接客ノウハウを学習させた「アテニア AIビューティアドバイザー」をオンラインサイトに実装した。音声とチャットの双方で相談が可能となり、利用者の肌悩みや生活背景に応じた提案を行う仕組みである。
会話内容はVoC(※)として蓄積され、提案精度の向上やサービス改善に活用される設計だ。対面接客で重視してきた“寄り添い”の体験をデジタル上でも再現する。
同社は従来、紙媒体を中心とした通販で顧客との関係を築いてきたが、制作・配送コストの上昇やニーズの多様化が課題となっていた。ECやアプリ、LINEなどの接点と連動させることで、アナログとデジタルを融合した次世代の通販モデルへ転換を進める。
音声による相談を前提とした接客AIの導入は、化粧品業界では先行的な取り組みと位置づけられる。オンラインでも店舗同様の対話体験を提供することで、購買前の不安解消や商品選定の精度向上が期待されている。
※VoC:Voice of Customerの略。顧客の発言や行動データを収集・分析し、商品開発や接客改善に活用する手法。顧客体験(CX)向上の中核となる情報資源。
利点と課題、通販の将来像は
音声接客AIは、ユーザーが“相談しながら選ぶ”体験をオンラインに持ち込める点に価値があるとみられる。化粧品のように個人差が大きい領域では、対話型の提案が購入の後押しとなり、顧客満足度や継続利用の向上につながる可能性がある。
一方で、AIの提案精度や説明の妥当性が問われる場面は今後増えると考えられる。誤った推奨や理解不足が生じた場合、ブランド信頼を損なうリスクもあり、データ管理や品質監視の体制強化が重要になる。
今後は接客ノウハウのデータ化が競争力の一因となり、通販は価格や配送速度だけでなく「相談体験」で差別化を図る方向へ進む可能性がある。音声対話を軸としたECが広がれば、店舗とオンラインの役割分担が再整理され、小売の購買プロセスにも変化が生じていくとみられる。
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