読売新聞は、大阪府が統合型リゾートの開業を見据え、生成AIを活用した依存症相談体制を試験的に導入すると報じた。
2026年度当初予算案には準備費として約5億円が盛り込まれる見通しで、日本国内の依存症対策に新たな手法が加わる。
大阪府、生成AI相談を試験導入 26年度に5億円計上
2026年2月7日、読売新聞によると、大阪府は、ギャンブル依存症などへの対策強化を目的に、生成AIが会話形式で自動回答する相談体制を試験的に導入する方針だと報じた。
これは、カジノを含む統合型リゾートの開業を見据えた施策で、2029年度に開設予定の「大阪依存症対策センター(仮称)」に向けた準備の一環として、試験的に導入される。
府関係者によると、依存症に関する専門知識を学習させたチャットボットの活用を想定しており、24時間対応を基本とする。
依存症の当事者や家族からの相談に対し、会話形式で助言を行い、状況に応じて専門家へ引き継ぐ運用を想定している。
一方、海外では、生成AIの回答が自殺を後押ししたとして、遺族が問題を訴えている事例もある。
大阪府はこうした事例も踏まえ、試験導入を通じて専門家につなぐ適切なタイミングや対応フローを検証する考えだ。
大阪府は、2026年度当初予算案に、相談体制の関連費用を含む準備費として約5億円を計上する見通しで、2025年度の約10倍にあたる。
2026年度には基本計画を策定し、医療人材の確保や養成、依存症対策に必要なデータの収集・分析も進めるとしている。
センターの設置主体は大阪府と大阪市で、今後、具体的な設置場所を選定する。
AI相談導入の意義と、慎重な運用設計の重要性
生成AIを依存症相談に活用することは、相談への心理的ハードルを下げる点で一定の意義があると考えられる。
電話や対面による相談をためらう当事者にとって、匿名性の高いチャット形式は支援への入り口を広げる手段となり得る。
24時間対応が可能になることで、これまで支援につながりにくかった層への接点が増える可能性もある。
一方で、生成AIの回答が常に適切であるとは限らず、誤った助言や不十分な対応がリスクとなる点は否定できない。
特に、依存症や精神的な問題を扱う領域では、AI単独での対応に限界があることを前提とした運用が求められるだろう。
人による判断へ速やかに切り替える仕組みをどこに組み込むかが、実効性を左右すると考えられる。
IR開業を控える大阪にとって、依存症対策は社会的信頼を支える重要な要素だと言える。
生成AIはあくまで支援体制を補完する手段であり、万能ではない。
今回の試験導入を通じて、利便性と安全性をどう両立させるのかが検証され、その結果が今後の全国的な自治体施策にも影響を与える可能性がある。
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