2026年2月6日、日本のジェネシスクラウドサービスと富士通は、イオンフィナンシャルサービスのコンタクトセンター刷新の効果を公表した。Genesys Cloud導入により操作性と自己解決率が向上し、待機時間の短縮につながったと発表している。
2500席規模でクラウド刷新
ジェネシスと富士通は、イオンフィナンシャルサービスのコンタクトセンターにクラウド型基盤「Genesys Cloud」を導入し、効果検証を完了した。運用規模は約2,500席に及び、国内金融機関として最大級のクラウド型コンタクトセンター事例の一つとなる。富士通が業務要件に応じたカスタマイズと保守運用を担った。
同社の窓口は決済、カード、銀行、保険、ローンなど多様なサービスを一括対応しており、問い合わせの複雑化と待機時間の増加が課題となっていた。従来のオンプレミス型システムでは機能改修に時間がかかり、サービス拡張への対応も難しかった。
導入後6カ月以内に、IVR(※)の自己解決メニュー拡充により特定の入金連絡業務で自己完結率が従来比21%向上。SMS自動送信によるセルフ対応も進み、オペレーターは高度な業務へ集中できる環境が整った。クラウドとローコード基盤により機能追加の迅速化も実現している。
今後は音声認識を用いた「AIコンシェルジュ」の導入が予定されており、利用者はプッシュ操作をせず自然な会話で適切な窓口へ接続される見込みだ。グループ内の他センターへの展開も視野に入る。
※IVR:自動音声応答システム。音声ガイダンスや入力操作で問い合わせ内容を振り分け、担当窓口へ接続する仕組み。近年はAIと連携し自己解決支援にも活用される。
効率化の恩恵と運用リスク
クラウドとAIの活用により、コンタクトセンターは単なる受電拠点から顧客体験を設計する基盤へ変化しつつあるとの見方がある。
自己解決率の向上や機能改修の迅速化は、コスト削減とサービス品質向上の両立につながる可能性がある。内製化が進めば、企業独自の顧客接点設計も加速すると考えられる。
一方で、セルフサービス化の拡大は人による対応機会の減少を招く可能性があり、複雑な相談や感情面への配慮が必要な場面では満足度低下につながる可能性もある。
AIの判断精度や案内設計が不十分な場合、かえって問い合わせの再発や混乱を生む懸念もある。
それでも金融領域では、顧客接点のデータ化とAI運用が競争力を左右する要素になりつつあるとの指摘もある。大規模センターのクラウド移行が進めば、運用モデルの標準化が進む可能性があり、業界全体で「人とAIの協働」による顧客対応が前提となる方向に向かう可能性がある。
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