2026年2月9日、日本のextra mileはAIマンガ制作ツール「HANASEE」の開発に向け150万ドルの資金調達を実施し、クローズドベータ版を公開したと発表した。IP創出の手法が大きく変わる可能性がある。
150万ドル調達とベータ公開
IP創出インフラ「Xross Road」は、海外投資家を中心とするプレシードラウンドで総額150万ドルの資金調達を完了した。Arbitrum Gaming VenturesとDecima Fundが共同リードを務め、Taisu VenturesやBaboon VCなどが参加している。
同日、AIマンガ制作ツール「HANASEE」のクローズドベータ版も公開され、招待制で提供が始まった。小説や脚本をもとにマンガを生成するAIエージェント型エンジンで、イラスト、構成、コマ割りなどの工程を複数AIが分担して処理する。
現役漫画家の知見を反映したトレーニングにより、キャラクターや世界観の一貫性を保ちながら長編制作に対応する設計とされた。従来の画像生成AIが抱えてきた整合性の課題を補う仕組みと位置付けられている。
背景には、Web小説発の作品が増える一方、マンガ化やアニメ化の機会が限られている現状がある。創作段階で視覚化を可能にすることで、IPとしての評価と流通を早期に促す狙いだ。
※マルチエージェント:複数のAIが役割分担して連携処理を行う仕組み。工程ごとの専門化が可能となり、複雑な制作や分析に適するとされる。
創作民主化の利点とリスク、今後
HANASEEの普及は、マンガ制作の参入障壁を大きく下げる可能性がある。作画スキルを持たない小説家や脚本家でも作品を視覚化でき、IPの試作や市場検証を短期間で行えるようになると考えられる。企業側にとっても、企画段階での判断材料が増え、開発投資の効率化につながる可能性がある。
一方で、AI生成コンテンツの増加により、作品の質や独自性の評価が難しくなる懸念もある。著作権管理や既存クリエイターとの役割分担、収益配分の透明性といった制度設計が不十分な場合、市場の混乱につながる可能性も指摘される。
今後は、生成から流通、収益化までを一体化したプラットフォームの競争が本格化していく可能性がある。創作の入口がAIに移行すれば、どのIPが選ばれ世界に展開されるかは、ツールの性能だけでなく流通基盤の設計に左右される構図になっていくとの見方もある。
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