NTT東、生成AI支援を刷新 自治体・企業向け「ミンクスプラス生成AI」で高度業務へ

2025年1月23日、NTT東日本は、自治体や企業向けに提供してきた「生成AIサービス」を「ミンクスプラス生成AI」へ刷新し、マルチコンシェルジュなどの新機能を順次追加すると発表した。国内の行政・企業DXを対象とした取り組みで、生成AIの実務活用を一段引き上げる動きとなる。
NTT東日本、生成AI支援を進化 マルチコンシェルジュなど新機能追加
NTT東日本は、2025年4月から提供してきた自治体・企業向け「生成AIサービス」の名称を「ミンクスプラス生成AI」に変更し、機能拡充とシステムデザインの刷新を順次実施する。
横浜市や藤沢市などでの導入実績を踏まえ、業務効率化から意思決定支援までを視野に入れたサービスへと進化させる狙いだ。
名称の「ミンクス」は「みんなのDX」を意味し、地域や組織全体でのDX推進を象徴する。
「プラス」には、単なるツール提供ではなく、利用者の業務に新たな価値を付加する姿勢を込めたという。
新機能の中核となるのが、複数のAIが連携してタスクを遂行する「マルチコンシェルジュ」機能である。
複雑な業務プロセスにおいて、複数のAIエージェントが役割分担し、相互に協調しながら高度な意思決定や業務支援を行う。
具体例として、議会答弁案の作成では、条例や通告など複数のドキュメントを横断的に参照し、最新状況を踏まえた回答を生成できる。
街づくり施策の検討では、異なるペルソナや立場を想定した賛否整理や論点抽出をAIが担うことも可能になる。
このほか、RAG(検索拡張生成)(※)の精度改善として、ドキュメント前処理ツールや引用元閲覧機能を追加する。
画像情報へのメタデータ付与やタグ付けにより、検索精度は従来比約160%向上するとしている。業務別テンプレートコンシェルジュも提供され、導入直後から活用効果を得られる設計だ。
さらに2026年6月にはUIを全面刷新し、操作効率を約70%改善する計画で、生成AIの利用体験そのものを高める。
※RAG(検索拡張生成):生成AIが外部ドキュメントを検索・参照しながら回答を生成する手法。最新情報や内部資料を反映でき、回答精度の向上に寄与する。
業務AIは実務段階へ 効率化の一方で統制と設計力が鍵に
今回の刷新は、生成AI活用が実証実験の段階から、実務利用へと広がりつつある兆しを示す事例の一つと捉えられる。
マルチコンシェルジュにより、従来は人手で行っていた多面的検討や調整作業をAIが補完できれば、行政・企業双方で生産性向上の効果は大きいと考えられる。
一方で、AIが業務判断に深く関与するほど、ガバナンスや説明責任の重要性は一層高まる可能性がある。
誤った前提や不完全なデータに基づく生成結果が、そのまま業務判断に影響するリスクも否定できない。
特に行政分野では、透明性と妥当性をどのように担保するかが重要な論点となる。
NTT東日本がデジタル庁の「行政における生成AI利活用ガイドライン」への準拠を掲げている点は、信頼性を確保するための一つの前提条件と位置付けられる。
今後の焦点の一つは、AIの高度化と業務設計の成熟をどう両立させるかにある。
UI刷新やテンプレート提供により利用の敷居は下がるが、最終的な価値は、業務フローをどこまでAIに委ねるかという設計力に左右されるだろう。
生成AIを「便利な道具」で終わらせるか、「業務変革の基盤」にできるかが、次の競争軸になる可能性がある。
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