教皇レオ14世、生成AIとAI倫理に言及 アイデンティティーを脅かすと懸念

2026年1月24日、ローマ・カトリック教会の教皇レオ14世は、生成AIが人間のアイデンティティーや社会的関係性を脅かす可能性があると警告した。海外発のこの発言は、5月17日の「世界広報の日」に向けた公式メッセージとして示され、AI時代における倫理と統治の在り方に一石を投じている。
教皇レオ14世、生成AIが世論形成と分断に与える影響を警告
教皇レオ14世は24日、生成AIの急速な普及が人間のアイデンティティーや人と人との関係性に深刻な影響を与えかねないとの認識を示した。
世界広報の日のテーマ発表に際し、AIはその創造者の世界観を反映し、学習データに含まれる偏見を再現することで、人々の思考様式や意見形成を方向付ける危険性があると指摘している。
特に問題視したのが、公的意見への影響力だ。
AIが生成する文章や画像、音楽は、人間の制作物と区別がつかない水準に達しつつあり、情報の受け手が現実とシミュレーションを見分けることが難しくなっている。
2023年に拡散した、前教皇フランシスコが白いダウンジャケットを着用した偽画像は、その象徴的な事例といえる。
さらにレオ14世は、AI開発の主導権が一部の巨大企業に集中している点にも言及した。
AIが提示する「統計的な確率」を、あたかも信頼できる知識であるかのように扱う風潮についても、「それは近似値に過ぎない」と批判し、人間の判断を代替するものではないと強調した。
昨年5月に米国出身初の教皇として選出されて以降、レオ14世は一貫してAIの影響力拡大に警鐘を鳴らしている。
先月には、軍事分野でのAI活用が加速している現状に触れ、命に関わる決定を機械に委ねることへの強い懸念も表明していた。
利便性の裏にある代償 人間中心のAI社会は実現できるか
生成AIは、情報発信や創作活動を効率化し、生産性を高める可能性を持つ技術である。
一方で、教皇レオ14世の指摘にもあるように、その利便性の裏側には、社会的分断や価値観の画一化を招く可能性があるとの懸念も指摘されている。
AIが世論形成に深く関与した場合、意見の多様性が損なわれるリスクは否定できない。
今後の重要な論点の一つとして挙げられるのが、効果的なガバナンスの確立だ。
レオ14世は、若者に対してアルゴリズムが現実認識にどのような影響を与えるのかを教育する必要性を訴えている。
これは、技術リテラシーを単なる操作能力にとどめず、社会的・倫理的影響まで含めて理解させる重要性を示唆するものと考えられる。
企業や政府が透明性の高い運用ルールを整備し、人間が最終判断を担う原則を維持できるかどうかは、AI社会の持続性に大きな影響を与える要素の一つとなりそうだ。
宗教界から発せられた今回の警鐘は、AIを巡る議論が技術競争だけでなく、倫理や価値の問題へと広がりつつあることを示しているとも言える。
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