Adobe Premiere最新版、AIマスク強化で編集工程を再定義

2026年1月21日、米アドビは動画編集ソフト「Adobe Premiere」の最新版を公開した。AIによる自動マスク作成機能を大幅に強化し、被写体認識や追従精度を高めた点が最大の特徴だ。
AIマスク機能を大幅刷新、編集と連携基盤を強化
今回のアップデートでは、AIを活用したオブジェクトマスク(※)とシェイプマスクが中核的に刷新された。任意の被写体にカーソルを合わせてクリックするだけで、数秒で精密なマスクを生成でき、複雑な動きにも追従するとされる。
マスク作成はツールバーから直接実行でき、トラッキングやぼかし調整も直感的に行える設計だ。なげなわツールなどによる微調整にも対応し、カラーオーバーレイやアルファ表示によって仕上がりを確認しやすい点も特徴となる。
シェイプマスクでは再設計により、トラッキング速度が従来比で最大20倍に高速化したという。ライブトラッキングプレビューやフレーム単位の編集モードが追加され、従来は数十工程を要した修正作業を大幅に短縮できる可能性がある。
加えて、Fireflyボード(※)からPremiereへの直接アセット送信、Frame.ioのV4パネル統合、Adobe Stockの完全統合も実施された。企画から編集、レビュー、素材調達までを1つの環境で完結させる体制が整えられた形だ。
※オブジェクトマスク:AIが人物や物体を自動認識し、その輪郭に沿ってマスクを生成・追従する機能。
※Fireflyボード:生成AIを活用した共同作業用ワークスペース。企画立案や素材生成、編集連携を一元化する。
制作効率は向上、AI依存と表現均質化が今後の論点
AIマスク機能の強化は、編集工程の効率化に大きく寄与する可能性がある。SNS動画や短尺コンテンツの制作現場では、被写体の切り抜きや強調表現を迅速に行える点が、制作スピードの向上につながるとみられる。
一方で、AIに判断を委ねる工程が増えるほど、表現が似通うリスクが指摘される。マスク精度の標準化が進むことで、編集者ごとの工夫や意図が相対的に目立ちにくくなる可能性も否定できない。
FireflyボードやFrame.ioとの連携強化は、チーム制作を円滑にする効果が期待されるが、特定ベンダーのツールへの依存度が高まる点には注意が必要だ。今後は、AIを省力化の手段として活用しつつ、人ならではの表現価値をどう組み込むかが、動画制作における重要な論点になると考えられる。
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