AI需要が押し上げるTSMC最高益 熊本第2工場は顧客主導で慎重判断

2026年1月15日、台湾の半導体受託製造最大手TSMCは、2025年12月期決算で売上高・純利益ともに過去最高を更新したと発表した。
TSMC、AI需要を追い風に過去最高益 熊本第2工場は条件付き判断
TSMCが公表した2025年12月期決算によると、売上高は3兆8090億台湾ドルで前期比31.6%増、純利益は1兆7178億台湾ドルで同46.4%増となり、いずれも過去最高を更新した。
業績を牽引したのは、生成AIやデータセンター向けに供給する先端半導体で、米エヌビディアなど大手顧客の需要拡大が寄与した。
加えて、スマートフォン向け半導体の需要回復も収益を下支えした。TSMCは世界最大の半導体ファウンドリー(※)として、最先端プロセスへの集中投資を継続してきたが、その戦略の妥当性が数値として裏付けられた。
同日開かれた説明会では、日本の熊本県菊陽町で建設が始まった第2工場についても言及があった。
生産に用いる技術世代や量産開始の時期については、「顧客のニーズや市場環境を踏まえて判断する」と説明し、現段階での具体化は避けた。
日本国内での半導体投資が加速する中、TSMCは慎重なスタンスを崩していない。
※ファウンドリー:自社ブランド製品を持たず、他社が設計した半導体を受託生産する製造専業企業。TSMCは同分野で世界最大手とされる。
慎重姿勢が示すTSMC戦略 日本にもたらす期待と不確実性
TSMCの判断は、メリットとデメリットの両面を持つと考えられる。
顧客需要を前提に投資判断を行う姿勢は、過剰設備による収益悪化を抑制し、結果として財務の安定性につながる可能性がある。
一方で、AI半導体市場は拡大基調にあるものの、投資競争の激化が市況の変動要因となるリスクは依然として残る。
日本側から見れば、熊本第2工場の具体化が遅れた場合、国内サプライチェーン強化のスピードが鈍化する懸念もある。
政府や自治体が期待する雇用創出や関連企業の集積効果は、実際の稼働時期や生産規模によって左右されるとみられる。
期待が先行する分、判断の先送りが短期的な不透明感につながる可能性も否定できない。
それでも、TSMCが顧客主導の姿勢を維持している点は、AI時代の半導体投資において「量より確実性」を重視する動きの一例として捉えることができる。
熊本第2工場が本格稼働に至れば、日本が先端半導体供給網の一角を担う可能性は高まる。最終的には、市場動向と主要顧客の投資判断が、その行方を左右すると言えるだろう。
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