電通総研とQuantが提携 日本の銀行決済をプログラマブル化へ

2026年1月14日、電通総研は英国Quant Networkと、日本国内のステーブルコイン市場開拓を目的とした業務提携契約を締結したと発表した。日本の金融機関を主な対象に、次世代のデジタル決済基盤の導入を支援する動きが本格化する見込みだ。
電通総研とQuant、日本でプログラマブル決済導入を支援
今回の業務提携は、日本の金融機関におけるプログラマブルなデジタルマネー活用を後押しする点に軸足を置く。
条件設定に基づき自動実行される決済や、トークン化預金、銀行発行型ステーブルコインの導入を想定し、既存の勘定系や基幹システムを大きく変更せずに実装できる点が特徴となる。
電通総研は、BOJ-NETに対応した決済管理システム「Stream-R™」をはじめ、決済・清算、SWIFT(※)、CLS決済など、国内金融インフラの中核を担うシステム構築で豊富な実績を有する。
制度対応と大規模統合に裏打ちされた実装力が、日本市場での展開を支える基盤となる。
一方のQuantは、銀行間プログラマブル決済のオーケストレーション基盤を提供してきた。イングランド銀行やBISイノベーションハブのProject Rosalind、欧州中央銀行などとの実証実験を通じ、規制当局と連携した技術検証を重ねている点が強みだ。
両社は、プログラマブル決済の実現、トークン化預金やステーブルコインのロジック設計、流動性管理の自動化、相互運用性を重視した技術デモなどを重点領域として掲げる。
日本の銀行や決済・清算機関、資本市場関係者に向け、現実的な導入モデルを提示していく方針である。
※SWIFT:国際銀行間通信協会が運営する、金融機関同士が送金などのメッセージを安全にやり取りする国際ネットワーク。
銀行業務の自動化が進展する一方、統制設計が成否を分ける
本提携がもたらす最大のメリットは、銀行業務における手作業依存の低減だろう。
条件付き決済や自動照合が進めば、当日流動性管理やトレジャリー業務の効率化が期待でき、人的ミスの抑制にもつながると見られる。
また、プログラマブル決済は、新たな金融商品やサービス設計の幅を広げる可能性がある。資金移動と同時に契約条件や監査ログを連動させる仕組みにより、企業間取引や証券決済の高度化にも波及すると考えられる。
一方で、課題も明確だ。自動実行ロジックが増えるほど、例外処理や障害発生時の責任分界が複雑化する。
金融機関には、技術導入と並行してガバナンスや内部統制の再設計が求められる局面が訪れるだろう。
今後、日本市場でプログラマブル決済が定着するかどうかは、利便性と安全性をどこまで両立できるかに左右される可能性が高い。
今回の提携は、その試金石となる取り組みであり、金融インフラ全体の進化を占う重要な一歩と言える。
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