AI関連学科に志願者殺到 韓国大学入試が映す「就職直結」志向の鮮明化

2026年1月14日、韓国の大学入試でAI関連学科への志願者が3年連続で増加していることが分かった。鍾路学院の分析によるもので、政府のAI産業支援と将来の就職優位性への期待が背景にある。
AI関連学科の志願者が16%増 倍率20倍超の大学も続出
鍾路学院によると、2026年度における主要20大学のAI関連学科(※)への正規入試志願者数は4896人となり、前年の4222人から16.0%増加した。2024年度3069人、2025年度4222人と推移しており、関心は3年連続で拡大している。
大学側も対応を強めており、AI学科の新設や既存学科との統合により募集人員は2024年度498人から2026年度648人へと増えた。それでも志願者の伸びが上回り、競争は一段と激化している。
分野別では自然系が前年比17.3%増、人文系も7.7%増と、AI教育が理工系に限らない流れが明確になった。地域別ではソウル圏に加え、地方大学の伸びが大きく、慶北大や忠南大などで40〜60%超の増加が確認された。
高麗大学や西江大学、ソウル市立大学では倍率が20倍を超える学科もある。
※AI関連学科:人工知能(AI)を中心に、機械学習やデータサイエンス、AI応用を体系的に学ぶ学部・学科の総称。近年は自然系だけでなく人文系にも設置が広がっている。
AI人材志向の光と影 ブームの先に問われる教育の質
AI関連学科人気のメリットとしては、産業構造の変化を見据えた人材育成が意識されやすくなる点が挙げられる。
政府がAIを国家戦略産業と位置付ける中、学生が就職やキャリアを意識して進路を選ぶ動きは、一定の合理性を持つと言える。
自然系・人文系を問わずAI素養を持つ人材が増えることは、結果として産業競争力の底上げにつながる可能性がある。
一方で、志願者の急増が即戦力人材の増加に直結するかどうかは不透明だ。
教育内容が十分に伴わなければ、「AI学科卒」という肩書きが先行し、企業側の期待との間にギャップが生じる懸念も残る。
また、AI分野への関心が過度に集中した場合、相対的に他分野の人材確保が難しくなる可能性も考えられる。
技術偏重が進めば、倫理や社会設計といった人文的視点が十分に育まれないとの指摘が出てくる余地もある。
今後は志願者数の多寡だけでなく、教育の中身や育成される人材の質が評価軸として重みを増していくとみられる。
大学や政策当局がどのような人材像を描くかが、中長期的な競争力に影響を与える可能性がある。
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