千房が飲食DX推進 音声AI「アイブリー」で電話の8割自動化、AI FAXも導入

2026年1月7日、株式会社IVRyは、お好み焼・鉄板焼チェーン「千房」を運営する千房株式会社が、対話型音声AI「アイブリー」と「IVRy AI FAX」を導入したと発表した。日本国内の飲食業界で、人手不足を背景に電話・FAX業務を起点としたDXが加速している。
千房、電話とFAXをAI化 店舗運営の自動化を本格始動
IVRyの発表によると、千房は対話型音声AI(※) SaaS「アイブリー」およびAIインターネットFAXサービス「IVRy AI FAX」を複数店舗で本格稼働させ、業務改善に取り組んでいる。繁忙時間帯に集中する電話応答の負荷軽減と、営業時間外を含む機会損失の防止が主な目的だ。
国内約60店舗、海外にも展開する千房では、当日予約や旅行会社からの問い合わせが重なり、スタッフが電話対応に追われる場面が多発していた。外国籍スタッフが約半数を占めることから、日本語での電話応答教育が大きな負担となり、若手スタッフへの教育コストも増加していたという。
アイブリー導入後は、定型的な問い合わせや予約案内を自動で対応し、電話応答の約8割を自動化した。自動音声とSMSによる予約フォーム送付を組み合わせることで、24時間予約受付が可能となり、Web予約の比率も高まっている。
加えて、紙出力に依存していたFAX業務はIVRy AI FAXによってデータ化された。責任者全員が即時に内容を確認できる体制が整い、担当者不在による確認遅れや返信漏れの防止につながっている。
※対話型音声AI:音声認識と自然言語処理を用い、人と会話するように自動応答を行うAI技術。電話業務の自動化や24時間対応を可能にする。
省人化の先にある価値 飲食DXがもたらす光と影
今回の導入による最大のメリットは、業務削減そのものではなく、現場の時間配分を見直す余地が生まれた点にある。
電話やFAXに費やしていた時間を、目の前の顧客への接客やスタッフ育成に振り向けられるようになったことで、生産性向上と顧客体験改善の両立につながる可能性が示されたと言える。
一方で、AIによる自動応答がすべての業務を代替できるわけではない。
想定外の問い合わせや、感情的な配慮を要する場面では、引き続き人の判断が重要な役割を果たすと考えられる。
全店展開を進める場合、AIと人の役割分担をどこまで明確に設計できるかが、運用定着の成否を左右する要素となりそうだ。
また、システム障害時の代替手段や、店舗ごとの運用差への対応といった課題も残されている。
DXが進展するほど、現場側にはAIを前提とした業務設計や運用スキルが求められる場面が増えていく可能性がある。
千房が掲げる「空いた時間で何を実現するか」という視点は、飲食業界全体にとって一つの示唆を与えるものだ。
IVRyの取り組みが、人手不足時代における持続可能な店舗運営モデルとして、どの程度まで波及していくのかが今後の注目点となる。
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