山形市の子育て相談が24時間化 傾聴型生成AI導入で支援体制はどう進化するか

2026年1月6日、山形市はLINE相談「おやこよりそいチャットやまがた」において、傾聴型生成AIを活用した実証実験を開始すると発表した。
山形市、子育てLINE相談に傾聴型生成AIを導入
山形市は、子育て世帯の悩みや不安に寄り添う相談窓口として、特定非営利活動法人フローレンスと連携し、2022年度からLINE相談「おやこよりそいチャットやまがた」を運用してきた。
平日9時から18時まで、社会福祉士や精神保健福祉士などの専門職がチャット対応を行い、これまでに4,000人を超える市民が利用している。
今回新たに始まる実証実験では、相談支援体制を拡張する形で、24時間365日対応可能な傾聴型生成AI(※)を導入する。
提供するのは、対話支援に特化した生成AIを手がけるつながりAI株式会社で、相談者の感情表現を受け止めながら、支援制度や関連情報を提示できる点が特徴だ。
注目すべきは、AIのみで相談を完結させない設計にある。
緊急性の高い内容が検知された場合には、昼夜を問わず有資格の相談員がAIに代わって対応する仕組みを整えた。
人とAIが連携する「ハイブリッド型相談」とすることで、相談の受け皿を広げつつ、支援の質を担保する狙いがある。
実証期間:2026年1月13日(火曜)から3月31日(火曜)まで。
対象:山形市に在住・在勤・在学する子育て世帯や妊婦、子どもで、利用者はLINE上でAIか専門職を選択し、個別相談が可能となる。
※傾聴型生成AI:利用者の発言内容や感情の傾向を分析し、共感的な応答を行いながら情報提供を行う対話特化型生成AI。判断や診断は人が担う。
安心を広げる一方で課題も AI子育て相談の行方
この実証実験の大きなメリットの一つとして、相談できる時間的制約を緩和する点が挙げられる。
育児の不安や孤独感は夜間や休日に強まる傾向があり、24時間対応のAIは、相談への心理的ハードルを下げる役割を果たす可能性がある。
初期段階の悩みを打ち明けやすい環境が整えば、問題の深刻化を防ぐ一助となることも考えられる。
一方で、生成AIが人の感情の機微を十分に理解できないという技術的な限界は依然として残る。誤解を招く応答や、利用者がAIに過度に依存するリスクも想定され、運用段階での継続的な検証は不可欠となる。
その点で、緊急時に人が介入する前提を組み込んだ山形市の設計は、現時点での一つの現実解と位置づけることができそうだ。
本実証で得られる知見は、子育て支援に限らず、福祉やメンタルヘルス相談など他分野への展開可能性も秘めている。
AIを「代替」ではなく「補完」として活用するモデルがどこまで定着するかは、今後の運用結果次第であり、自治体DXの方向性を占う試みの一つになるとみられる。
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