経営トップの4割超が「AIで人員減」 定型業務は代替、最終判断は人が担う

読売新聞社により公開された「新春・景気アンケート」で、各業界の経営トップの4割超が、生成AIの影響により今後10年で従業員が減少すると回答した。
定型業務の代替が進む一方、経営判断の最終責任は人が担う姿勢が示された。
生成AIで4割超が人員減と回答
読売新聞社は2026年1月3日、2025年11月下旬から12月中旬にかけて各業界の経営トップ41人を対象に行った「新春・景気アンケート」を公開した。
生成AIの影響で今後10年に従業員が減ると回答したのは18人で、このうち5人は10%以上の減少を見込んだ。
減少しないと答えたのは15人で、増えるとしたのは1人にとどまった。
人員減少の要因としては、データ入力、資料作成、コールセンター業務など、定型的な情報処理業務がAIに代替されるとの見方が多かった。
一方、すかいらーくホールディングスの谷真会長は、デジタル分野の専門人材を拡充し、AI活用による生産性向上を通じて、新規出店や事業拡大に伴う店舗スタッフの採用増につながると回答した。
経営判断への活用状況では、AIを「活用している」と答えた経営者は14人で、主に情報の収集や整理に用いられている。
キリンホールディングスの磯崎功典会長は、論点整理を担う「AI役員」を実証段階で導入しているとし、最終的な意思決定は人が行うことを前提としている。
今後もAIに任せられない業務として、対面での接客やおもてなし、食品安全や品質保証の最終確認、文化財工事など熟練を要する作業が挙げられた。
特定分野に限定されない汎用人工知能(AGI)の実現時期については、「5年以内」が10人、「5〜9年」が9人、「10年以上」が6人で、「わからない」との回答も15人あった。
雇用再設計が進む一方、判断責任は人に残る
今回のアンケート結果は、生成AIが日本企業の雇用構造に具体的な影響を及ぼし始めていることを示している。
データ入力や資料作成といった定型業務がAIに代替されることで、人員削減を見込む経営トップが4割を超えた点は象徴的だ。
一方で、すべての企業が縮小に向かうわけではなく、AI活用による生産性向上を前提に人材投資や事業拡大を進める姿勢も確認できる。
この点は、AI導入が単なる省人化ではなく、経営戦略の選択肢として位置づけられていると言える。
経営判断へのAI活用が情報整理や論点提示にとどまり、最終意思決定は人が担うと明確にされている点は、メリットとリスクの両面を踏まえた現実的な対応だ。
判断の迅速化や視野拡大が期待できる反面、責任の所在や判断の妥当性は人が引き受ける構造が維持されている。
今後は、AIに任せる業務と人が担う領域を整理し続ける姿勢が、企業経営の安定性を左右する可能性がある。
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