シャープ「COCORO ENERGY」AI制御が進化　電気料金プラン対応を拡充

シャープ株式会社は、クラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」において、電力会社ごとに多様化する電気料金プランへ対応する新たなAI制御を発表した。
2026年2月12日のバージョンアップで提供を開始し、日本国内の家庭向けに電力利用の自動最適化機能を拡充する。

COCORO ENERGY、料金プラン対応のAI制御を提供

2025年12月16日、シャープは、クラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY（※）」のAI制御機能を強化し、2026年2月12日のバージョンアップで提供を開始すると発表した。
対象は同社HEMS機器＜JH-RVB1＞で、サービス利用料は無料とされている。

近年、電力会社の電源構成転換や電力調達コストの変動を背景に、時間帯や季節によって料金単価が変わる電気料金プランが増加している。
また、再生可能エネルギーの発電時間帯に需要を誘導する「料金型DR」の導入も進んでいる。

今回のAI制御では、利用者が契約中の電気料金プランを登録することで、プラン特性や余剰電力の買取価格を考慮し、蓄電池や給湯器を自動制御する。
太陽光発電の余剰電力や、電力会社が設定する割安な時間帯の電気を有効活用できる仕組みだ。

電気料金単価は6カ月に一度自動更新され、料金単価や買取単価が改定された場合でも、利用者による操作は不要とされている。
従来どおり、手動で運転モードを選択することも可能だ。

さらに、2025年10月1日に開始された新FIT制度では、太陽光発電システムの初期投資回収を支援するため、設置後4年間は高い固定価格で電力を買い取り、5年目以降は市場価格相当での買取に移行する仕組みが採用されている。
これにより、売電価格が年数によって変化する環境下でも、AIが価格条件に応じて機器を自動制御する。

あわせて、同バージョンアップにより、HEMS＜JH-RVB1＞はIoT製品のセキュリティ機能を評価・可視化する「JC-STAR」の適合ラベル申請を行う。
また、DR取引拡大に向け、分散型電源の電力量データを電力取引に活用できる制度である「特定計量制度」への対応も予定されている。

※COCORO ENERGY：シャープが提供するクラウド型HEMSサービス。家庭内の電力使用状況を管理・制御する。

電気代削減と自動化を進める一方、理解不足が課題に

本機能の導入により、利用者は電気料金プランや売電条件の変化に応じた機器設定を都度行う必要がなくなり、家庭内エネルギー管理の負荷軽減が期待できる。
特に、時間帯別料金や、売電価格が段階的に変わる新FIT制度の環境下では、AIによる自動制御の利便性は高いと言える。

一方で、料金単価や売電条件が自動で反映されることで、利用者自身が電力コストの構造を把握しにくくなる可能性もある。
どの時間帯にどの電力が使われているのかを理解しなければ、節電効果を実感しづらい点は留意すべきだ。

また、家庭内エネルギー管理の高度化に伴い、電力データの取り扱いやセキュリティへの信頼性も重要になるだろう。
制度対応や安全性をどこまで分かりやすく伝えられるかが、今後の普及拡大を左右すると考えられる。

シャープ株式会社 ニュースリリース

関連記事：

シャープがAIサーバー事業で再成長を狙う　鴻海連携で新たな収益基盤へ

あわせて読みたい

シャープがAIサーバー事業で再成長を狙う　鴻海連携で新たな収益基盤へ 2025年12月8日、シャープは「AIサーバー事業推進センター」を16日付で設置すると発表した。親会社の台湾・鴻海精密工業の生産力を生かし、国内で拡大する生成AI需要を取...